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NEWS&COLUMN 交通事故でむち打ちになった場合、慰謝料などの補償はどうなるのでしょうか。
「むち打ち症」とは、追突や衝突などの交通事故によって被害者の首がむちのようにしなったために起こった頚部外傷の局所症状の総称です。医学的な傷病名ではありません。傷病名・診断名としては、頸椎捻挫、頚部挫傷、頸椎椎間板ヘルニア、頸椎症性神経根症、脊髄損傷などが考えられます。受傷原因や外傷程度により症状はさまざまで、治療方法や期間は多岐にわたります。首の痛み以外にも、頭痛、めまい、耳鳴り、眼精疲労、全身倦怠、動悸などの自律神経失調症状が出ることがあります(バレリュー症候群)。
十分な補償を受けるためには、たとえ事故直後にはさほど痛みを感じなかったとしても、できるだけ早期に病院(整形外科)を受診し、MRI等の必要な検査を受け、たとえ検査では異常が見つからなかったとしても痛みや症状を具体的かつ正確に医師に伝え、必要な治療を継続することが肝要です。
保険会社によっては、3か月程度の治療期間の経過をもって打ち切りを打診されることもあるでしょうが、治療の継続が必要なのであれば、その旨を保険会社に説明すべきです。その場合、まだ症状固定(これ以上治療しても改善が見込めない状態)には至っておらず治療継続が必要なことを医師に診断書に記載してもらうなど客観的な根拠を用意しておくと、交渉をしやすくなります。あえて保険会社から病院に病状の照会をしてもらい、医師から説明してもらうことも考えられます。ご自身で交渉することにご不安があるようでしたら、弁護士に保険会社との交渉を依頼することもご検討ください。
治療をしても症状が残った場合、客観的(他覚的)な異常所見があり、「局部に頑固な神経症状を残すもの」に該当すれば、12級の後遺障害等級に該当します。また、客観的(他覚的)な異常所見がなくても、自覚症状(患者自身の訴え)として痛みがあれば、「局部に神経症状を残すもの」に該当し、14級の後遺障害等級が認められる可能性があります。この場合、治療期間に応じた傷害慰謝料(入通院慰謝料)等に加え、後遺障害慰謝料や逸失利益(労働能力が低下したために失うであろう収入の不足分に対する補償)を請求することができます。
仮に、後遺障害等級に該当しない場合でも、治療期間が長ければ、その分だけ、治療費、通院費、休業損害、傷害慰謝料(入通院慰謝料)を請求できる可能性があります。
慰謝料、休業損害などは、弁護士が代理人として交渉等することで、大幅な増額を得られることが少なくありません。事故直後から弁護士がご助言することで、十分な補償を受けられる可能性が高まります。すぐに症状が出なかったとしても、念のため早めにご相談いただくことをお勧めします。
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