ニュース&コラム
NEWS&COLUMN 交通事故で怪我をさせられ、治療や療養のために仕事を休まなければならなくなった場合、その分ご収入が減るなど、お困りになると思います。そのような場合、事故がなければその休業期間中に得られたであろう収入(休業損害)を、加害者である相手方に請求できます。この休業損害は、怪我が治ったか症状が固定した時(これ以上治療しても改善が見込めない状態となった時)までの間に、怪我のために休業を強いられた分について、認められます。※1
相手方保険会社からは、この休業損害も含めた賠償額が提示されることになります。その休業損害の金額は、適正なものと考えてよいのでしょうか。
休業損害の算定方法は、一般的には、下記のとおりです。
基礎収入は、事故直前3か月程度の平均額を用いることが多いようですが、不確定要素の強い職種については、より長期間の平均収入が用いられることもあります。給与所得者が休業期間中に有給休暇を使用した場合は、その期間を含めて休業損害が認められる傾向にあります。事業所得者や会社役員の方については、ご本人の労務によって取得された収入部分を特定して基礎収入を算出しますので、個別のご事情を弁護士がお伺いすることになります。
では、主婦(主夫)等の家事従事者の休業損害は、どうなるのでしょうか。
一見すると、収入がないので休業損害は認められないように思われるかもしれませんが、家事労働は社会において金銭的に評価され得るものであり、家事に従事することができなかったことによる休業損害を認めることができると考えられています。裁判所は、家事従事者の基礎収入として、多くの場合、女性労働者の全年齢平均賃金を用いています。ただし、被害者の年齢・家族構成・身体状況・家事労働の内容等によっては、これよりも低い金額となる場合があります。
80代の被害者(主婦)の休業損害について、相手方の任意保険会社が、休業損害を0円と算定し賠償額を提示してきたことがありました。これに対し、弊所の弁護士が代理人として交渉した結果、自賠責保険の支払基準(原則日額6100円)による70万円台の休業損害を、相手方保険会社に支払わせることで示談ができました。
休業損害は、弁護士が代理人として交渉等することで、大幅な増額を得られることが少なくありません。保険会社から賠償額を提示されたとき、すぐに応じるのではなく、一度、弁護士にご相談いただくことをお勧めします。
※1 症状固定時以降に、事故による後遺障害により収入が減った分については、後遺障害逸失利益として、損害賠償を請求することになります。(コラム「交通事故に関する損害の種類」参照)
関連コラム「保険会社の提示する慰謝料の金額は適正か?」