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NEWS&COLUMN交通事故の被害者が損害賠償を請求できる相手は、原則として、加害者本人または加害者が加入している保険会社です。
しかし、加害者が任意保険に未加入で、しかも資力がないという場合もありますし、加害者本人と連絡が取れず交渉が進まないということもあり得ます。そのため、加害者本人以外にも損害賠償請求できる相手がいないかについて、必要に応じ、初回相談から検討するようにしています。
(1)使用者
加害車両の運転者が、従業員として業務上運転をしていた場合には、その使用者(会社等、雇用主)に対しても、損害賠償請求をできる可能性が高いと言えます(民法715条1項。ただし、使用者が被用者の選任及びその事業の監督について相当の注意をしたとき、又は相当の注意をしても損害が生ずべきであったときは、使用者は責任を免れます。)
(2)運行供用者
被害者が負傷または死亡した人身事故の場合、その人身損害については、「自己のために自動車を運行の用に供する者」(運行供用者)に対しても損害賠償請求をできることが通常です(自動車損害賠償保障法3条)。
運行供用者の典型は、自動車の所有者(ただし、盗難等により運行を事実上支配できない場合を除きます。)ですが、所有はしていなくても、借りていた、預かっていたなど、自動車を使用する権利がある者も、運行供用者に該当する可能性があります。
(3)その他
加害者が未成年の場合、その監督義務者である親に損害賠償請求ができるかが問題となりますが、加害者に12~13歳程度の事理弁識能力が備わっている場合には、加害者本人に責任能力があるとされ、法的には、監督義務者として親に損害賠償請求をすることはできません(ただし、親が自動車の運行供用者であれば、運行供用者として親に損害賠償請求できることになります)。
道路などの施設が通常備えるべき安全性を欠いていたために事故が発生した場合には、その管理者または所有者に損害賠償請求ができます。
欠陥車による事故では、自動車の販売会社、メーカー等に損害賠償請求できることがあります。
損害賠償請求の相手を誰にするかを含め、被害回復の実現のために弁護士は初動段階から様々な検討を行いますので、ご遠慮なくご相談ください。
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