2024/02/02
法曹養成制度検討委員会の廃止にあたって
京都弁護士会法曹養成制度検討委員会は、私が2015年度に京都弁護士会会長在任中に設立した委員会であり、法曹養成に関する検討を行うことを主な活動分野としていたものである。この委員会が、この度、出席委員の全員一致で委員会の廃止を決議し、今年度中の常議員会にて、廃止されることとなった。
担当分野が法曹養成制度の検討ということで、京都弁護士会だけの活動で大きく変更できるものではなかったが、問題状況を集積し可視化してゆくようなことをから、世論を変えるようなことにつながってくれればという期待を持って専門的な委員会として立ち上げたものである。しかし、肝心の若い世代の弁護士から、委員会に参加してくれる方がほとんどなく、委員会としても会員アンケートを何度か実施したぐらいで、新規の企画もあまり打ち出すことができなかったこともあり、若い世代どころか会員全般からも支持を得ることができなかったように思う。力不足を痛感する次第である。ただ、一番大きな要因は、この委員会が発足した2016年の段階で、既に、肝心の就職難がほとんど解消されていたということなのかも知れない。さらに言えば、今後、合格者の数を減らしても、現役の若い世代の経済環境が大きく改善されることにはつながらないし、むしろ、自分より若い世代がプラチナチケット化する資格を持って弁護士市場に入ってくるということは、つらい就職難を経験させられた世代の弁護士としてはなおさら支持できないということもあるのではなかろうか。いずれにしても、この委員会の廃止は、弁護士の急増という大きな波を受けた今の法曹界への処方箋は、法曹の増加数を減らしたり法曹養成課程を古い時代に戻そうとすることではないということを象徴する動きということになるように思う。今後は、資格にあぐらをかいていると非難されてもおかしくなかったような弁護士の業務スタイルをいかに利用者目線で変革してゆくか、司法が利用しやすくなるような法制度改革を実現していくということに注力すべきなのではなかろうか。私に残された人生はもうあまりないかも知れないが、できることからコツコツとやってゆこうかなと思っているところである。