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弁護士法人 白浜法律事務所

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白浜の思いつき
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2009/02/02

景観政策の影響で京都市民が住宅を建てにくい状態になっているようです

昨年も流したことですが、京都市内の住宅着工戸数は激減しています。このことをマスコミも取り上げるようになってきました。先週の京都新聞によると、京都市の住宅着工戸数は、バブル後を下回ったとのことです。前年比22.5%の減少ということで、他の地域に回復傾向がみられる中、京都市の落ち込みは、他の地域よりも際立っているようです。
http://www.kyoto-np.co.jp/article.php?mid=P2009013000231&genre=C4&area=K00
 国土交通省の統計データをみれば、このように新聞報道される前から、京都市内の住宅着工件数の落ち込みは明らかだったのですから、京都市が早期に政策変更を検討しない限り、この政策は京都の経済に決定的なダメージを与え続けることになってしまいます。世界経済の急激な落ち込みの中、早期の経済政策が求められている今日、関西地域の中でも京都だけが立ち後れるという事態を招かないためにも、京都市は早期に政策を再検討するべき社会的責務があると思います。
http://www.mlit.go.jp/common/000032017.pdf

2009/01/22

境界確定訴訟は改善すべき

遅くなりましたが、本年最初の更新です。今年もよろしくお願い申し上げます。
さて、今回は、土地境界の問題と裁判についての思いつきの提案です。
境界確定訴訟は、土地の境界を裁判所に決めてもらう訴訟です。訴訟ができることについては、普通は調停という話合のための手続を簡易裁判所に申し立てることができますが、境界を定めるための調停は申し立てることができないようになっています。土地の境界は公的なものであって、民間での話合で決めることは許されないという考えが裁判実務の基本的建前となっているため、境界についての話合をするための調停もできないから、簡易裁判所への土地境界に関する紛争の調停の申立もできないということになっているのです。このため、境界について争いがあり、裁判所に関与してもらって解決しようとする場合には、地方裁判所に訴訟を提起する必要があります。この地方裁判所での訴訟でも、上記建前があるため、境界についての和解はできないということになっています。このため、境界確定訴訟で当事者間で境界に関する合意ができたとしても、訴訟外で地積更正をするか、土地所有権の範囲の確認をして、境界の訂正は別途法務局への手続を行うことで処理されています。これは、最近まで地方裁判所でしか離婚訴訟はできず、訴訟でも和解はできないとされていたことと同じような市民感覚とのずれを感じる制度です。
民間では、土地の境界について事実上話合は行われていて、当事者間の合意を尊重して、地積更正とか公図訂正を行うことは通常よく行われていることですから、民間の紛争を解決するべき裁判所では、和解ができないということは、市民感覚からはかなりずれているように思うからです。
そもそも土地の境界が公的なものであったとしても、裁判所で和解するとした場合、その和解の主催者は裁判所という公的機関が行っているわけですから、裁判所が当事者の合意をもって土地境界とすることが合理的であると認めている場合にまで和解を許可しないということは、あまりに建前を尊重しすぎているように思いますし、何よりも利用者たる国民としては、手数がかかりすぎて不便です。国民が望んでいるのは、たらい回しされることなく、一つのところで全部処理されるというワンストップサービスでしょう。
そこで、思いつきの提案ですが、境界確定訴訟でも当事者の合意が土地境界として合理的なものと認めることができる場合には、和解が可能とするよう、法律で定めるべきだと思います。同様に、調停についても、簡易裁判所でも受けつけることができるように法律で明確に定めるべきだと思います。そうすれば、合理的ですし、利用者にとって便利だと思います。ただ、調停の場合、簡易裁判所で行われるため、簡易裁判所裁判官の判断だけで調停合意による境界確定を認めていいのかという問題はありますから、調停の場合に境界合意を認める要件については、慎重な議論は必要かも知れません。
なお、これは、あくまでも提案であり、現行法や実務を前提とする限り、私の事務所でも、土地境界を定める調停を申し立てることはありません。ただ、先日、土地境界をめぐる紛争について裁判をするまでもない案件について、調停を利用するという離れ技を使わせてもらい、何とか解決にこぎ着けることができました。土地境界に関する手続には、弁護士として色々なテクニックを磨くことが必要だと実感しています。

2008/12/27

修習生の就職状況に関する補足

前回のエントリーに対して、いくつかのご連絡をいただきましたので、新60期に関する情報を埋めることができるようになりました。
まず、新60期で初期登録した弁護士数についてですが、直前の60期の登録数が1255人だったものが、直後に2096人となっているとのことでしたから、841人となります。
新60期の二回試験の合格者が979人、66人が判事補、42人が検事となっているとの新聞報道がありましたから、弁護士の一斉登録日の段階における法曹にならなかった合格者の数は、979-841-66-42=30人となります。これは、合格者との比率から言うと、3.06%となります。
この結果から、新60期と新61期を比較すると、数では30が88と58人の増加、比率では3.06が5.08と2%の増加と就職状況の悪化は明らかです。
なお、以下に示すデータからは、裁判官の採用抑制の傾向も顕著なものとなっていることがわかります。
       二回試験合格者 弁護士 裁判官 検察官 その他 裁判官比率
平成17年  1158       911  124  96   27    10.7%
平成18年  1386      1144  115  87   40     8.3%
平成19年  2376      2045  118 114   99     5.0%
平成20年  2340      2027   99  93  157     4.2%
上記のデータは、平成19年以降については、現行組と新組を合わせた数字となっていますが、平成20年は、平成19年よりも、法曹資格者の数の増加という点では減少に転じていることもわかりました。弁護士数については、二回試験合格後に就職が決まる人もいますから、減少に転じていると断定することはできませんが、少なくとも初期登録の数では減少しています。裁判官は、平成17年がピークで減少傾向にあると言ってもおかしくないほど増えていません。検察官とあまり変わらない数しか採用されておらず、比率は明らかに減少傾向にあることを示しています。これが裁判官として採用するに足りる人材が確保できていないためなのか、それとも、就職状況の厳しさゆえに、修習生側が早期に就職先を決める傾向に裁判所が対応できていないためなのかは、よくわかりません。いずれにしても、合格者が増加している中、裁判官の採用を抑制している理由について、裁判所は国民に開示するべきではないかと思います。

2008/12/25

新61期の就職状況

新61期の就職に関するデータは以下のとおりです。
 まず、新61期修習の合格者数は、新聞報道によれば、1,710人ですが、過去の再受験組も新61期として扱われるので、法律上正確に言うと、1,731人が新61期の合格者となります。
 このうち、弁護士として登録できる日の初日に登録した人は、1,495人です。これは、日弁連のHPの会員専用ページを利用して検索した結果によるものです。日弁連の会員データでは、新修習と現行修習の区別はなく、両者を同じ期とみなす処理がされているのですが、新61期の登録日直前の61期の数が555人でした。登録日の翌朝の確認では、2,050人に増えていましたから、初期登録人数は、2,050-555=1,495人となるわけです。
 次に、新61期から採用された検察官は、新聞報道によれば、73人です。
 最後に、新61期から採用された裁判官の数は、新聞報道によれば、75人です。
 この結果、1,731-1,495-73-75=88人が法曹にはならなかったということとなります。残念ながら、この数字は、私がチェックを始めてから、最高の数字になってしまいました。
 新60期については、上記データチェックができていなかったので、正確な数字がわかりませんが(昨年は、このチェックの方法を思いつきませんでした。このようなデータチェックを私しかやっていないことからすると、昨年のデータがないということには、少し責任を感じています。)、法曹にならなかった人に関する59期以降のデータは下記のとおりとなります。このように比較してみると、修習生が法曹にならない比率は5%程度に落ち着いてきたということが言えそうです。しかし、来年は、大企業で赤字に転落するところが続出し、リストラが吹き荒れている中、企業法務を中心としている大手の法律事務所が新人の採用に慎重になる可能性もあるなどの懸念材料もありますから、さらに厳しい状況となることは必至でしょう。採用してもらえたものの、厳しい労働条件となっている事務所もあることも懸念されます。日弁連は、若手弁護士の労働条件の調査を丁寧に行うべきでしょう。
 なお、これは、初期登録の数ですから、二回試験合格後に弁護士となる人もいるということは注意する必要がありますが、初期登録ができなかったということは、修習中に就職先がみつからなかったということを示していますので、修習生の就職状況を示す数値としては、かなりの意味があることになります。
   59期 27人    2.33%(合格者数1,158人)
現行60期 69人 4.94%(合格者数1,397人)
現行61期 33人 5.42%(合格者数609人)
新61期  88人 5.08%(合格者数1,731人)