2010/06/17
司法研修所に入寮してみる
私は、現在、弁護士会の修習委員会に所属している。6月には、全国の修習生指導担当者協議会が和光の司法研修所で行われるということで、参加することになった。寮に泊まることもできるということだったので、和光の研修所にはいったこともない私としては、松戸寮との違いをみてみようということで、宿泊を申し込んでみた。
まず、和光市駅に着くと、駅から司法研修所循環バスがでていて驚いた。やはり修習生の数が違うということだろうか。それとも駅から歩いてゆけるような近いところには施設を作れなかったということだろうか。
バスに乗って10分ほどで、司法研修所前に着く。研修所の中に入ると、誰もいなくてがらんとしていた。それもそうだろう、新63期は、まだ実務修習中で、現在は数少ない現行64期しかいないわけですからね。で、単にお泊まりするだけかと思っていたら、入寮手続という形式が使われており、1日だけ「いずみ寮」に入寮するということになった。修習担当の裁判官や検察官はかなりの数、入寮されていたが、弁護士の入寮は私1人だけであった。
寮は、玄関に靴箱があり、スリッパに履き替えることになっている。寮内は、完全セルフサービスで、ベッドにシーツを敷いて、ふとんにカバーをかけてということから始めることとなった。松戸寮の入寮のときも確かこんな感じだったような記憶である。部屋は、ビジネスホテルより大きく、簡単な押入や棚もあり、机も1人で勉強するにはちょうどいいものが置いてある。幸い、歯磨セットは付いていたので、田舎のビジネスホテルに泊まったような感じである。夜は、無茶苦茶静かである。テレビがないので、パソコンでニュースをみることぐらいしかできなかったし、なによりも白い壁しかみえない夜は久しぶりであった。静かすぎて、パイプを流れる水の音とか、遠くを走る自動車の音が気になったほどであった。
食事は、松戸寮と同じようなものである。400円で夕食が食べられた。安い。ちなみに朝食は360円で腹一杯食べることができる。
とにかく広い敷地であるし、近くにには公園もあるから、居住環境としては良好である。建物もとてもりっぱである。膨大な国家予算が使われているんだなという実感が湧く。
退寮の際には、お風呂掃除をせねばならないのかと多少不安になったが、さすがにそこまでやる気にはなれなかった。ただ、シーツやタオルは、リネン室まで運んで退出した。ちなみに、ひげ剃りはないので、持参する必要がある。
結論的には、松戸寮よりは、周辺環境もよく、部屋もデラックスで人間らしいものにはなっているものの、ここで2か月の集合修習はつらいなという印象だった。松戸から湯島に通う時間がない分、勉強には打ち込めるだろうが、同じところにずっといるのでは気分転換が難しいような気がした。白い壁しかみえない生活は、もう弁護士になってしまった者には無理なように感じた。銭湯のような広いお風呂にもたまには入りたいと思うかも知れない。
久しぶりに受験中の夢でもみるかも知れないと思ったが、意外とぐっすり眠れた。最近、忙しかったせいでもあろう。
翌日は、各地の修習の実情について情報交換と議論が行われた。他会での修習生の様子を聞くと、修習生の置かれている現状がよくわかり、参考になった。同期の裁判官などとも話をする機会ができたことも収穫だった。
というような次第で、今年の京都の修習生諸君ががんばって全員合格してくれることを祈って、1日入寮体験記を終えることとする。