2011/01/08
弁護士白書の数字から弁護士がどこで増えているのか分析してみる その3 昔から多かったところはあまり増えていない?
東京、大阪、京都、愛知、福岡、沖縄、広島、岡山と続く順番は何かと言いますと、弁護士1人あたりの県民数が少ない順番ということになります。つまり、これらの地域は、日本の中では弁護士が密集している地域ということになります。そこで、これらの地域の増加率変化に注目してみたいと思います。
これらの地域について、1990年から2000年、1995年から2005年、1998年から2008年、2000年から2010年の人口増加率を並べると以下のとおりとなります。( )内の数字が上位から何番かということになります。都道府県の総数が47なのに52番があるということは、北海道と東京都で弁護士会が複数あるためです。全国平均と東京3会の合計値を末尾に記載しました。最初の東京の数値は、第一東京と第二東京を除いた数字です。
1990→2000 1995→2005 1998→2008 2000→2010
東 京 122.38(19) 133.68(19) 143.04(30) 158.42(38)
大 阪 127.50(12) 132.87(20) 138.17(37) 148.92(47)
京 都 119.84(22) 137.23(15) 142.00(32) 158.77(36)
愛知県 128.64(10) 115.84(18) 148.40(22) 168.41(28)
福岡県 124.60(16) 130.16(24) 142.61(31) 158.88(35)
沖 縄 104.09(47) 103.95(49) 114.53(52) 121.91(52)
広 島 117.73(24) 123.33(35) 137.85(38) 163.32(33)
岡 山 125.19(15) 121.66(37) 136.31(42) 171.95(26)
全国平均 124.10(**) 136.70(**) 149.35(**) 168.10(**)
東京3会 125.42(**) 140.87(**) 151.57(**) 169.42(**)
この数字から推察されることは、既に弁護士密度が高かった地域では他の地域と比較すると弁護士はあまり増えていない、特に東京や大阪などの大都市と従来から弁護士人口の多かった京都では増加率が悪くなっている、沖縄のように昔から弁護士数が多かったところでも増加が停滞している、特に大阪、京都、福岡は最近になって増加率が大きく落ちてきているということです。
ところで、最新版の弁護士白書による弁護士1人あたりの県内総生産が最も小さいところは東京で、その次は大阪→沖縄→京都→福岡→仙台ということになります。東京を除けば、ほぼこの順番と増加率の鈍化傾向は相関関係にあるように思います。
以上のことからすれば、私は、大阪や京都、福岡は、既に飽和状態になりつつあると言ってもいいように思います。
但し、東京は3会を合計すると、全国平均より増加率が上回っていますから、第一東京、第二東京の各弁護士会の増加率は全国平均を上回っているわけです。つまり、東京の中で東京弁護士会だけが弁護士があまり増えないという現象が生じているということになります。ひょっとして、東京弁護士会は新人を雇い入れる力が落ちてきているということになるのかも知れません。これは、最新の増加率が47位と急激に増加率が落ち込んできている大阪弁護士会にもいえることかも知れません。