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弁護士法人 白浜法律事務所

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白浜の思いつき
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2014/09/11

平成26年の司法試験の結果について

 司法試験の合格者の数が1,810名と昨年の2,049名よりも239名減っています。これを政党の提言に配慮したためではないかなどと言う人もいるようですが、私は、そうではないように思います。
 平成26年度の合格点は770点となっていて、平成25年度の780点よりも10点も下がっています。合格点は、平成24年度も780点で、平成22年度は775点でしたから、平成26年度はこの5年間の中で最低の合格点となっています。ちなみに、平成23年度の合格点は765点でしたが、この平成23年度は平成22年度と比較すると、平均点が5点も下がっていますし、最高点最低点共に下がっていますから、試験問題が難しかったために合格点も下がったという推定が働くように思います。平成26年度の場合、最高点や最低点も大きく下がったとまでは評価できませんから、試験問題が難しかったとは言えないように思います。そのような中、合格点が10点下がったということになります。
 平成26年度は、平均点も、平成24年度と平成25年度と比較すると、10点近く下がっています。
 最低点から10点下げたラインまでにいる受験生の数は、この5年間で平均すれば、おおよそ170名ほどです。平成26年度の場合も161名ですから、合格点を760点としたとすれば、合格者の数は1,971名と2,000名に近いものとなっていたことになります。ただ、この人数にした場合には、評価対象者に占める合格者の比率は、44.8%となってしまい、この5年間の中でも異常に高い合格者比率になってしまいます。昨年と比較して、そこまでの合格水準の緩和はさすがにできなかったという推測してもおかしくないように思います。
 平成26年度については、受験回数制限が緩和されたために、自分の成績を気にして受験を控えるといういわゆる受け控えが減ったのではないかとの推測をされる方がおられます。確かに、受験者数は、平成25年度の7,653名から8,015名と増えています。予備試験を合格した受験者も、167名から244名と増えているわけですが、その増加数よりも受権者総数の増加が大きいので、確かに受け控えは減ったように思います。その代わりに、平成26年度の場合、足切りで評価対象とならなかった人が684名とこの5年間の中で最も多くなっていて、平成25年度の401名と比較すると283名も増えています。試験問題が難しかったのではないかと思われる平成23年度でさえ足切りとなった人は382名に過ぎません。評価対象者の総数も、平成26年度は4,396名とこの5年間の中で初めて4500名を切り、昨年の平成25年度と比較すると462名も減っていますので、採点対象となる受験者が大きく減少したことになるようです。これは、受験者の平均的な水準が下がったことを推測させるように思います。
 以上よりしますと、合格点が770点と決められた理由は、受験者全体の成績を考慮して、そこを最低点にせざるを得ないとの判断が働いたのではないかと考えるのは、おかしなことではないように思います。この推測が正しいとすれば、本当に恐ろしいことです。司法試験受験生の法的素養が全体として低下してきていることを意味していることになるからです。
26年度試験結果成績原因論分.jpg

2014/09/01

若手弁護士アンケートにご協力ください

 60期以降の若手弁護士の皆さんには、これからの司法と法曹のあり方を考える弁護士の会から、アンケートが送付されていることと思います。
 宇都宮会長時代には、法曹人口政策会議というものが設置され、各地の弁護士会から委員が集まり、法曹人口問題について議論し、最終的には司法試験合格者数を1500人まで減員することを求める決議をまとめることができました。私も、この委員として、日弁連にでかけては、色々な意見を述べておりました。その中に、会員の声を聞いてほしいということでの会員アンケートの実施を求める意見がありました。しかし、この提案には、大きな単位会を中心とする人たちからの反対が強く、会議で取り上げてもらえるまでには至らず、実施することはできませんでした。日弁連は、弁護士を構成員とする組織ですから、その会員の声を集めるということがなぜいけないのか、未だにわかりません。
 今回、これからの司法と法曹のあり方を考える弁護士の会は、若手弁護士の現状把握のために、アンケートを実施することになりました。このアンケートが沢山集まれば、若手の意見がわかることになり、日弁連の政策変更を促すことにつなげることができないかと期待しております。基本的にはをつけるだけで回答できるよう工夫して簡単なアンケートにしておりますので、ぜひご協力いただければと思います。

2014/08/11

65期の厳しい就職状況を示すデータ

 日弁連が本来やるべきことだとは思いますが、私は、個人的に、若い期の弁護士の総数の推移をチェックする作業を続けております。65期の総数の推移からすると、登録したり、また、抹消したりということを繰り返している人がいるのではないかと思われる数字の動きがありますので、ここで、公表させていただきます。
 65期は、新規登録可能な日には、1,370名が登録された期です。546名が弁護士にも裁判官にも検察官にもならなかったということで、一括登録可能時の弁護士未登録者が激増した期になります。
 65期は、2013年1月末には1,650名近くが弁護士登録され、3月初旬には、登録数は1,750名ほどになり、4月には1,800名を越えました。しかし、その後は、登録数の増加は停滞気味となり、1,820名となるのは、5月の連休明けでした。64期と比較すると増加が停滞する時期が少し早まっています。7月20日頃には、1,850名を越えるのですが、その後は、9月になってから、登録数が一時期減ったりもしながらも少しずつ増えて、2014年1月になって1,861名となり、1,860名台にようやく達することになりました。その後も増えたり減ったりを繰り返しながら、4月中旬に1,864名となったもののまた1,862名に減り、8月5日には1,864名に再び戻るものの、本日8月11日には1,863名に減っています。
 このように、65期は、昨年9月から増えたり減ったりの繰返しになっています。全体数が増えたり減ったりしていることは、就職に苦労されている方が増えていることの象徴だと思います。弁護士に登録するには、日弁連と各単位会に入会金を納める必要がりますので、一度退会して入会し直している人がいるのなら、経済的な負担としても重いものがありますから、本当に大変だろうと思います。
 なお、64期は、総数が1,924名になったことがありますから(8月11日現在は1,907名に減っています。)、65期の数は、64期と比較して60名も減っていることになるということも補足しておきます。おそらく66期は、65期よりもさらに厳しいデータがでてくることになるものと推察されます。私がチェックしているところでは、現時点でも増加スピードが落ちている上、既に一時期減ったりもしているからです。
 日弁連は、このような新人弁護士の現状をもっと理解するように努める必要があると思います。

2014/08/03

新規登録弁護士の中に登録を抹消する人が増えているということ

 司法試験に合格したところで弁護士になれるとは限らないということは、もはや常識のように世間に定着してしまった感があり、早くからその問題を指摘してきた者としては、大変残念に思っています。
 司法試験合格者を社会の需要を無視して急増させた結果は、司法修習生の就職難という社会的な問題を招くことになりましたが、この急増政策が適切な時期に停止されずに漫然と維持されたために、単なる就職難の問題から新人弁護士の就業環境の劣悪化という、より深刻な問題に深化してきています。
 その象徴とも言える統計的数字が、若い期の弁護士数の急減です。つまり、私が調べた限り、60期は新旧合わせて2,094名いた時期がピークですが、平成26年8月2日段階での現在数は2,056名と38名の減、61期は同じく2,122名いた時期がピークですが現在数は2,075名と47名の減、62期は同じく2,109名いた時期がピークですが現在数は2,061名と48名の減、63期は同じく1,925名いた時期がピークですが現在数は1,876名と49名の減、64期は同じく1,907名いた時期がピークですが現在数は1,907名と17名の減となっています。61期から63期にかけて総数が減っている中、減少者の総数が同じような人数となっていることは、問題がより深刻化してきていることを示しているように思います。なお、ピーク数を新旧合わせた数字でしか公表できないのは、日弁連の検索システムが新旧を区別しない取扱となっているためです。このため、現行組と新修習組とに統計的な差があるのかどうかがわかりません。ただ、問題は社会的需要を越えた供給過剰にありますから、おそらく有意な差はないものと予想されます。
 63期は、弁護士になってからおよそ3年半を過ぎたという人が多いはずですから、50名近くが既に弁護士ではなくなってしまったということは驚くべき数字のように思います。この63期は、二回試験後の一斉登録可能時点における法曹にならなかった人が、現行組が44名と22.6%を占め、新63期では214名(11.0%)と初めて200名を越えた期です。就職状況が大学生の就職と比較しても格段に悪いという状況になって2年目ぐらいというところです。63期でこのような現象が生じているわけですから、63期よりも就職環境が悪化した64期以降は、さらに顕著な現象が生じる危険性は極めて高いと言わざるを得ません。
 就業環境が劣悪な中、弁護士会費を毎月5万円近くも払うということでは、生活が成り立たなくなるのは当たり前のことですから、弁護士から転職するという人が増えてくるのは経済的必然だと思います。しかし、これが競争原理の結果だと言われるのは、不合理だと思います。弁護士になってから努力するという機会を得る前に劣悪な環境に置かれて撤退を強いられているというわけですから、もはや競争に参加さえさせてもらえなかった人が多数生じているという問題だからです。
 現に、私の周囲でも劣悪な就業環境が原因となって事務所を退所したり、他の事務所に移ろうとしている人がいるとの話がいくつか聞こえてきています。このようなことが続けば、法曹になろうとする人が激減することになるのは必至です。早急に法曹養成制度の改善が求められています。最大の問題が社会的需要に合わない合格者の無駄な輩出にある以上、最初に行うべきことは、合格者数の削減であることは明らかです。これにより、国家的予算も大きく削減できるわけですから、司法修習の給費制復活など、法曹志望者の激減を防止する各種施策も実施できる環境を整えることもできます。急がないと取り返しがつかない状況に司法全体が陥ることとなり、国民にも多大な迷惑が生じることになりかねません。
 個人の人生ということを考えてみてほしいとも思います。20代という時期を勉強に投じて、研修も受け、弁護士になった人が転職をすることを余儀なくされている、そして、そんな人が少数ではなく沢山いるということなわけです。もちろん、旧司法試験の時代にも、いわゆる司法試験浪人という人がいたことは事実ですが、28歳ぐらいまでには、合否の可能性がわかった上で、試験を続けるかどうかを決めていたはずです。今発生している問題は、司法試験には合格し、研修も受けたのに仕事がないという事態です。どちらが不合理なのか、また、どちらが残酷なことなのかは自明なことだと思います。私は、社会的需要を無視して合格者を乱造しているという政策の失敗が若い人たちの人生を狂わせていることになっていると言っても過言ではないのではないかと思っています。