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弁護士法人 白浜法律事務所

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白浜の思いつき
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2015/08/19

弁護士人口の増加の地域的傾向の変化に関する続き

 前回のブログで、弁護士人口の増加の地域的変更に変化がでているということを書こうと思ったのは、長崎県弁護士会の石橋龍太郎先生に京都弁護士会でご講演いただいた際の話の中で長崎県の弁護士は減少しているという指摘を受けて、私が感じていた滋賀県での弁護士人口の増加の停滞と同じような傾向が全国で発生してきているのではないかという疑問が生じたためです。
 そこで、念のため、弁護士白書の最新版である2014年版のデータと、現在(平成27年8月19日)の弁護士数を比較してみましたが、別添のとおり、弁護士人口が減少した都道府県が、長崎だけでなく、秋田も減少していたことがわかりました。全く増えていない県は滋賀、山梨、徳島、和歌山、金沢、愛媛の6県でした。その他にもほとんど増加のない県もかなりの数になっていることがわかりました。やはり、弁護士の人口増加が停滞してきた地域が増えてきたと言えるように思います。増員が急激すぎて弊害が生じ、人口増加が停滞する地域が生じてきているのではないかと私は推察しています。
弁護士人口増加停滞地域.pdf

2015/08/11

弁護士人口の増加の地域的傾向に変化がでてきています

 滋賀県の弁護士人口の増加率がこの10年では全国一位であることについては、昔、説明したことがあります。この滋賀県の弁護士人口の増加がついに停止しました。すなわち、日弁連の会員専用弁護士検索によると、第67期の二回試験後の一斉登録時期の直前である平成26年12月11日時点の滋賀弁護士会の会員数は140名でしたが、翌平成27年1月24日時点でも会員数に変化はありませんでした。同年2月5日には142名となりましたが、その後は141名となったり142名となったりの繰返しで、同年6月4日には140名に戻り、本日(同年8月11日)には139名となり、一斉登録時期前よりも人口が減少したことになります。これは、かなり大きな変化です。
 実のところ、奈良弁護士会も一斉登録時期直前は163名であった会員数が一旦は168名になったものの平成27年6月2日時点では165名に減少し、今でも167名となっているだけで、ほとんど増加がありません。和歌山については、一斉登録前の人数を確認していないのですが、平成27年2月23日時点での会員数が142名だったものが、現在では140名ということになっています。
 なお、現時点(平成27年8月11日)の滋賀弁護士会の67期の弁護士は4名で、奈良弁護士会では5名、和歌山弁護士会では2名ですから、会員数がほとんど増えていないということは、66期までの弁護士の退会や登録換があったということが強く推定されます。
 以上より推測されることは、関西地区でも政令指定都市のような大都市を抱えていない地域では、弁護士は既に飽和状態となっていて、増加傾向にあるとは言えなくなってきているということです。
 ちなみに、京都弁護士会の会員数は、一斉登録時期の直前である平成26年12月11日時点では670名でしたが、翌平成27年2月5日時点で696名となったものの、その後は同年3月23日には695名に微減し、同年7月23日までは697名前後の会員数で微増減を繰り返していましたが、同年8月4日に703名と700名を初めて突破し、現在に至っています。要するに、一括登録時点では相当数が増えるものの、その後はほとんど増えていないということになります。これは、私のように弁護士会の役職に就いている者からすると、かなり違和感のある数字です。と言いますのも、今年になってからは毎月3名以上の入会の審査が行われているので、もっと増えているだろうという感覚に陥るからです。これは、登録換で京都から離れる会員については京都では審査が行われないことが主因です。なお、退会者については理事者には決裁が回りますが、退会者、すなわち弁護士を完全にやめる人はそれほど多くはないのです。このため、役職に就いてから人口があまり増えていないという数字には違和感を感じるわけです。
 大阪弁護士会では、どうなっているかというと、一斉登録時期の直前である平成26年12月11日時点では4,096名でしたが、翌平成27年2月13日時点で4,242名となったものの、その後は漸減傾向となり、現時点では4,210名となっています。つまり、大阪弁護士会でも一括登録時点で相当数が増えて、その後はほとんど増えていないというか、むしろ減っていることになります。なお、兵庫県の弁護士人口は一括登録前を確認していないのでよくわかりませんが、大阪弁護士会の会員数が減少に転じた頃から同じ様な数字で減少してきています。このため、関西地域の弁護士人口は、私が調査を始めた平成27年2月23日時点で6,243名であったものが、現時点では6,207名と36名も減少しています。
 ちなみに、全国での67期の数は、大阪弁護士会の会員数がピークとなった平成27年2月13日時点では1,590名だったものが、現時点では1,724名ですから、新しく弁護士になった人は大阪弁護士会の会員数が減っている中でも増えていることになります。つまり、大阪の会員数の減少は登録換や退会などによることが強く推定されることになります。
 これらの数字から推測されることは、一括登録の人口の多くは一旦は大阪で多く吸収され、一部は各地でも登録吸収されるが、その後は、登録換として次第に周辺地域に移る。周辺地域である京都などでもさらに他の地域への人口移動や退会という弁護士からの廃業がある。このため、京都などでも一括登録が終われば弁護士人口はあまり増えないということになっているのではないかと思います。
 この統計的数字に加えて、既に何度か指摘しているように、60期以降の請求退会者の数が増えているということからしますと、60期以降すなわち法科大学院制度を利用した若い人達にかなりのしわ寄せが来ていて、登録換などが繰り返されているのではないかとの推測も可能のように思います。法科大学院で多額の学費などを負担し、貸与制で借金を抱えて、最後には弁護士廃業というような方が相当するおられるのではないかと思うと、計画性のない制度変更で人生を狂わされた人がかなりの数になっているのではないかと思えてきました。法曹養成制度の改革は待ったなしだと思います。

2015/06/15

やはり年度初めの転職は増えていた

本年4月5日のブログで、年度初めの転職が増えているのではないかということを報告させていただきましたが、本日届いた自由と正義からも、その裏づけができました。
6月号に掲載された請求退会者は、3万以上の番号の弁護士が60名、1万以上3万未満の番号の弁護士が16名、3桁代の弁護士が3名、合計で79名となり、私の観測史上最大の人数の請求抹消となりました。毎年6月号に掲載される請求抹消者が多いということはありますが、そのような中でも私の観測の最大値は59名でしたから、今月号の掲載者数は異常に多くなっています。
年間累計では197名となり、昨年よりも多いので、今年は、年間で400名を超える可能性が高くなってきました。
多額の学費などもつぎ込んで苦労して勉強して弁護士になっても、自発的にやめてゆく人が増えているということは、弁護士の職業的魅力が失われてきていることを示していると思います。

2015/05/30

司法試験受験生の変化は急激なようです

5月28日には、京都弁護士会の総会で、司法試験合格者数の大幅な削減と給費制復活を含む司法修習生に対する経済的支援の拡充を求める決議を採択していただきました。色々と議論はありましたが、決議ということで一つの区切りがついたことはよかったと思っております。
ただ、法曹内部でこのような議論をしている中、情勢はさらに大きく変化してきているようです。端的に言えば、法曹という業界が受験生という次世代の若者から見放されそうな時代になりつつあるのではないかということです。
法科大学院の潜在的な志願者を示す数値である法科大学院適性試験の出願者数は、平成15年度は、大学入試センターが39,250人、日弁連法務研究財団が20,043人でした。これは重複されている方がいますので、正確な出願者数はわかりませんが、志願者数は一貫して減少し続けて、平成22年には、大学入試センターが8,650人、日弁連法務研究財団が7,820人となりました。平成23年からは、法務研究財団だけの実施となりましたが、志願者数は7,829人となり、その後も減り続けて、平成26年度は4,407人となっています。このことはよく知られていることだと思います。
実際に法科大学院に入学した人の数も減っています。平成16年が5,767人で、平成18年に5,784人というピークを迎えてから後は一貫して減り続け、平成26年には2,272人となり、平成27年には2,201人と微減となっています。微減に留まっているから安心できるのではとの考えもあるかも知れませんが、そうでもなさそうです。実際には入学者定員が減っている中でも競争倍率が低下するということになっているからです。つまり、競争倍率は、平成21年が2.80、平成22年が2.74、平成23年が2.88、平成24年が2.53、平成25年は2.20、平成26年は2.00、平成27年は1.87とついに2倍を切る事態となっているのです。2015年の国公立大学の前後期合わせた入試倍率が平均で4.5倍ほどということのようで、2倍を下回っているところはほとんどないということですから、1.87倍ということは果たして選抜試験なのかという根本的疑問が生じてしまうことになります。しかも、定員総数は同じなのではなく毎年減っている中、入試倍率が下がるということになっていることになりますから、志願者の減少に合わせて学校側が定員を減らしても、志願者の減少に追いついていないということになるわけです。具体的な志願者が激減していることは統計上も明らかということになります。
ところで、司法試験の受験資格は、法科大学院の入学ではなく卒業ですから、入学してから卒業する人はどうなっているかということもみてゆかねばなりません。実のところ、法科大学院の修了認定者数も減少しています。平成20年度がピークで4,994人だったのが、次第に減少し、平成23年度には3,937人(68.7%)と4千人を割り込み、平成24年度には3,426人(68.2%)となっています。文科省は、厳格な成績評価・修了認定の実施により、標準修業年限修了率は低下と説明していますので、入学しても修了できる学生の数は、さらに少ないということになるわけです。そうしますと、2200人の入学者が確保できたとしても、実際に卒業する人の数はさらに少なくなるということになります。仮に65%とすれば、1430人となり、修了者は年間1500人を割り込むこととなります。
このような中、司法試験の合格者数を1500人にしたとしても、予備試験からの受験生や前年の不合格者がさらに受験するということもありますが、競争倍率2倍を確保することは大変困難ということになってしまうように思います。このままでは、司法試験は受験した人はほとんど全員合格する試験ということになってしまうということが懸念される事態となっていると言えるのだろうと思います。
私は、司法試験の合格者数が社会的需要に比較して多すぎて問題が生じているということを訴えて変革を求めてきたわけですが、変革よりも先に若者から見放されることによって、制度そのものが変化せざるを得ない事態になりつつあるのではないかと思えてきました。もはや一刻の猶予もないと言わざるを得ないと思います。