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弁護士法人 白浜法律事務所

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白浜の思いつき
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2017/09/12

弁護士激増政策は、弁護士過疎偏在対策としても失策だったのでは?

 弁護士を増やす理由として、人口過疎地に弁護士がいないところがあるということが指摘された時期があったように思う。いわゆるゼロワン地域問題である。しかしながら、このゼロワン地域の解消は、法科大学院の卒業生が弁護士になる頃には、既にほぼ解消されていたということは、これまで何度か私が指摘してきたとおりであって、少なくとも法科大学院制度ができたことによってゼロワン地域が解消されたというような事実はないことは確かなことである。
 弁護士激増の結果として、2004年から2014年にかけては、会員数の少ない弁護士会での弁護士数の急増が顕著となったが、特に滋賀県の急増には驚くほどの勢いがあった。しかしながら、私が、最近の2年間で弁護士人口ウォッチを続けているところでは、滋賀県の弁護士人口は、ほぼ横ばいを続けている。関西地域では、和歌山も奈良も弁護士人口は増えておらず、ほぼ横ばい状態である。
 全国的にも同様な傾向が生じているのではないかと思って、日弁連の弁護士検索システムを利用して、会員数の少ない弁護士会(函館から茨城県までの33会)の9月11日現在の会員数をチェックし、私が2015年度の弁護士白書の数字から整理していた表と比較してみたところ、予想通り、会員数の増加比率は、弁護士全体の増加比率を下回っていた。つまり、全体の増加率は約10.1%増なのに対して、上記33会全体での増加率は8.2%に留まっていて、鳥取県は減少、長崎県は増減なし、青森県や秋田は1名増など完全に人口増が停止した弁護士会も出現していた。詳細は、下記の表記載のとおりとなる。
 過疎地に育った者としての感覚としては、過疎地に人がいなくなるのは、経済活動の低迷、つまりその時代の平均的な要求に見合った収入を得られる仕事が確保できないことに主因があると思っているが、そのような過疎地に弁護士を赴任させようとした場合、経済的に安定するだけの仕事があるかどうかが決定的に重要ということになろう。ところが、ゼロワン地域の解消が進んだ頃には、人口過疎地でもいわゆる過払バブルがあってひまり公設事務所でも経営は安定していたものの、この過払バブルがはじけた後は、人口過疎地での弁護士の仕事の確保はかなり厳しくなっているように私は理解している。そうなると、あえて過疎地に赴任しようとする弁護士が減っていくのは自然の流れということになる。弁護士急増政策は、市場調査なしに実施されたために、弁護士1人当たりの仕事や収入を大きく減らす結果をもたらしてしまったが、そのことは、仕事があるかどうかもよくわからない過疎地への赴任者を減らす結果につながったのではないかと私は推測している。医師の場合、公的な支援があり、過疎地に赴任している医師への経済的手当ては充実しているが、弁護士の場合、日弁連が自腹を切って支援しているだけで、自治体などからの支援があるのは京都府など一部に限られている。数さえ増やせば、過疎地に弁護士が増えるだろうというような乱暴な政策では、過疎地の法的ニーズに対応することはできなかったということではなかろうか。
会員数の少ない単位会の増員推移表.pdf

2017/08/20

与謝野のひまわり

弁護士バッジはひまわりのデザインということで、ひまわりの撮影に挑戦してみました。
与謝野町ひまわりフェスティバルというものがあるとのことらしかったので、がんばっていてきたわけです。
https://www.facebook.com/yosano.himawari
ただ、少し時機を失してしまいました。
これぐらいががんばって撮れたという感じです。美瑛のひまわり畑と比べると少しこじんまりとした感じではありましたが、立派なひまわり畑でした。
IMG_0659.JPG
IMG_0660.JPG
ただ、ほとんどのひまわりは、うなだれてしまったような感じになっていたのが残念でした。8月上旬が見頃のようです。
IMG_0662.JPG
実がついて頭が重くなっていたようでした。

2017/08/18

谷間世代の救済

 貸与制の下で司法修習を行い弁護士になった方々を谷間世代と呼ぶようになったということである。
 貸与制という制度は、研修には給与を払わなくてもよいというような極めて乱暴な考えの下に創出されたものであり、人権侵害の疑いがあると私は考えている。
 そもそも司法修習は学校の授業とは全く異なるものである。検察や裁判の修習は権力行使に関わる仕事であるし、弁護修習も、刑事の接見など権力行使に対して民間から唯一対抗できる仕事に関わるものである。司法修習ではプライバシーにも触れる機会も多く、司法修習生には守秘義務などの重大な義務が課せられているし、何よりも、他では基本的に仕事をしてはならないという修習に専念する義務も課されている。このような義務が課されていて、実際に仕事に就いていながら、報酬が与えられないということが許されるはずもない。また、司法修習は1年に短縮されてしまったものの、この間に、和光での集合修習が2度あるから、修習地の赴任も含めると3度の転居も強いられることになるが、貸与制の初期にはこの補助すら全く不十分であった。司法修習生は希望とおりのところに赴任できる人の方が圧倒的に少なく、ほとんどの人が希望していないところに配属されるのであるから、その移動の補償も十分なものにされるべきであった。
 このような貸与制の下で修習を終えた人が、就職が最も厳しい時代に修習をしたわけである。修習という制度に対して不満を抱いたり、先輩法曹に感情的な反発が生じたとしても、おかしくはない。このことによって、法曹の中に世代間の断絶が生じるようなことになるやも知れない。そうならないためにも、我々弁護士が、谷間世代の人達のために、立ち上がって、救済のための運動を続けねばならない。
 木内会長は、さらに進んで弁護士会内での救済活動に踏み込むことを提案されている。大変よいことだと思うが、一体誰がどう援助するのかということが更なる問題を生むかも知れない。本来責任を問われるべきは弁護士大増員の旗を振ってきた方々であろうが、弁護士大増員の結果については、弁護士大増員の方向への舵取りに異議を述べずに放置した弁護士にも責任がないとは言えないだろう。大増員の波の中で弁護士になってきた若い世代について考えたとしても、56期以降の方々も、弁護士大増員時代に弁護士になり、弁護士の経済事情が大きく劣化していく過程を経験された方が多いから、貸与制世代だけをの支援することには反発が生じるかも知れない。それぞれの考えに大きなずれがあることは明らかだから、大変難しい舵取りとなろう。弁護士全員がいいアイデアを持ち寄って、谷間世代の救済に努力せねばならない。65期の返済開始時期が迫っている今日、私達には時間も残されてはいない。

2017/02/23

弁護士としてはあまりいい気持ちにはなれないデータ

 最近、親しくさせていただいていた弁護士が亡くなることが続いたので、気が重い作業ではあったが、弁護士の死亡による退会者数の変動について調べてみた。
 まず、理解していただきたいことは、この15年ほどの間で、異常な増員が行われているために、弁護士の中に占める高齢者の割合は日本の社会全体と比較すると極端に少なくなっているということである。従って、弁護士の総人口が増えたからと言って、その人口数に比例して死亡退会者が増えることにはならないことになる。実際、1989年の自由と正義に掲載された死亡退会者の総数は186名で、1990年は208名であるから、1990年頃には200名ほどが死亡により退会していたと推測できるところ、10年ほど経た1999年では182名で、2000年は136名しか死亡による退会者はいないし、後述するとおり最近でも200名程度しか死亡による退会は掲載されていないので、弁護士の急増後も、死亡による退会者はあまり増加していないようである(請求して自主的に退会する方が増えているわけでもある。)。ただ、後述する最近の死亡退会者数から考えても、2000年の自由と正義に掲載された退会者数は極端に少ない。自由と正義の2000年8月号には退会者の記述が欠落しており、通常連続した欄に掲載される新規登録者や登録換の掲載もされていないことに加えて、9月号の退会者数が大きく増えていないことを考えると、日弁連の自由と正義の編集担当者が8月の掲載を失念していた疑いが払拭できないので、2000年のデータの信頼性はないとみてもらった方がいいようである。ただ、他の3つの年の死亡退会掲載者の数からしても、弁護士の急増が始まる頃までは、多くても年間約200名ほどが死亡により退会していて、少ない年では150名ほどしか死亡による退会はない時代が続いていたという理解でおかしくないものと思われる。
 最近の死亡退会者の変動を整理する上で、その区分の方法を工夫してみた。弁護士の登録番号が1万5千番までは若くても27期の方となり、最短で合格していたとしても今では65歳ということでは社会全体の中での位置づけとしては高齢者の死亡ということで理解できるので1万5千番を一つの区切とし、3万番までは働き盛りの死亡というとらえ方ができるから1万5千番までとは分けることとした上で、3万番までの方と4万番以上の方で分けてみたところ、別表記載のとおり、登録番号が3万番を越える登録して間もない弁護士にも亡くなった方がかなりの数となることがわかった。
弁護士の死亡退会者推移表.pdf
 すなわち、登録番号が3万番を越える弁護士の死亡として自由と正義に掲載された方は、2009年と2010年ですら12名に達し、2011年と2012年には6名に減少したが、2013年には12名にもなり、2014年に3名と減じたものの、2015年には10名、2016年には11名に増えている。3万番台の弁護士の死亡退会掲載者が年間で12名となった2013年は、4万番台の弁護士の死亡退会掲載者も4名となっている。この年は、66期の一斉登録の年であり、一斉登録時点での未登録が570名で未登録率も30.7%と、数でも率でも最も悪い数字となった年でもある。ちなみに、この年は自由と正義に掲載された請求退会者の総数が320名と初めて300名を超えた年でもあり、翌年には374名もの請求退会者が自由と正義に掲載されている。2013年は自由と正義に登録番号が3万番を越える弁護士の請求退会者が初めて200名を突破し、217名が掲載された年でもある。この年が厳しい年であったことは、他のデータからも読み取れる。翌2014年には、働き盛りである3万番以下で死亡が掲載された弁護士の数が70名となり、総数も195名となるなど、死亡による退会が全体的にも増える傾向が生じている。死亡退会者の総数はその後も増え続けて、2015年と2016年はいずれも208名と200名を超えている。このうちの3万番を越える番号の人の数は、2015年が13名で、2016年は19名と増加傾向となっている。
 私が気になるのは、登録して間もないのに死亡している弁護士がかなり数おられるということである。このように登録して間もなく死亡されている弁護士の数については、弁護士の総数が増えていることや2014年以降は減ってきていることや弁護士登録して間もない方に裁判官や検察官の退官者が一部含まれているなどをとらえて、おかしな数字ではないと考える人もいるかも知れない。しかし、新規登録弁護士のほとんどが若い世代であることからすれば、弁護士になってすぐに死亡する会員がこれだけの数いるということについては、私としては、異常さを感じるのである。
 もし登録して間もなくして亡くなる方が増えているとすれば、大変憂慮すべきことである。日弁連は、心身の故障により死亡するに至った会員の実態について早急に調査した方がいいのではなかろうか。弁護士から形成されている強制加入団体である日弁連としては、会員の現状を把握して当然であろうから、この事態を放置することなく、実態調査に取り組まれることを望む。