遺言・相続あんしん相談室

コラム

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遺言をできる能力

前にも同じような記事を書きましたが、遺言は、認知症や交通事故などが原因で意識がなくなっているような人が作成することはできないので、注意が必要です。危篤状態であっても、意識さえはっきりされていれば、危急時遺言という形式を採れば、遺言書を作成することは可能ですが、意識がなくなっているような方とか、意味不明の言動しかできない状態になられているような方は、遺言書を作成することができません。

日本では、高齢化社会の到来に伴って認知症の方が増加したためか、遺言書をめぐる法的な争いは、この遺言能力をめぐるものがかなりの比率を占めるようになっています。

よく誤解されている方がおられますが、認知症であれば、遺言書は作成できないということでもありません。認知症にも症状や進行度に違いがありますから、軽度の認知症であれば、遺言者は作成可能です。但し、複雑な内容の遺言は、認知症の方が作成することは難しいということになりますが、逆に言えば、簡単な内容の遺言書は、認知症の方でも有効に作成できるという判断が導かれやすいということは言えます。

いずれにしても、遺言が可能な状態かどうかは、経験のある弁護士に相談の上、実際に面談してご本人とお話する機会を持ってもらった上で判断してもらう必要があります。

なお、遺言の能力があるかどうかが問題となることが予想される事案では、単に遺言書を作成してもらうだけでなく、証拠を補強しておく必要があります。その点にまで目が行き届いているかということが、弁護士を見極めるツボということになるように思います。

2012年8月 著  弁護士 白 浜 徹 朗

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