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弁護士法人 白浜法律事務所

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白浜の思いつき
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2008/08/27

老朽家屋の放置はやはり危険

倒壊の可能性のある老朽家屋を放置することが危険であることについては、このブログでも何度か取り上げているテーマです。最近でも、下記の記事のとおり、渋谷で家屋が倒壊したようです。自然倒壊ということのようですが、このような事故が発生すると、通行人が巻き込まれる危険性がありますし、救助等にあたる消防隊員も極めて危険な作業に従事しなければなりません。現に、この倒壊家屋では消防隊員も立ち入れないところもあったようです。姉歯事件で、建物の安全性の問題がクローズアップされましたが、実は、姉歯物件よりも危険な建物が町中に沢山あるわけです。このような老朽建物の建替を推進する施策が構築されない限り、いつかは、人命に関わる事件が発生するのではないかと懸念されます。
http://www.fnn-news.com/news/headlines/articles/CONN00139346.html
http://sankei.jp.msn.com/region/kanto/tokyo/080827/tky0808270330001-n1.htm

2008/08/18

弁護士の専門性表示

久しぶりのブログ更新です。法律改正に絞るつもりでいたのですが、あまりに限定しすぎで、更新がやりにくいので、方針を転換することにしました。
本日は、弁護士の専門性広告について、お話しします。
最近では、交通事故専門とか、債務整理専門などと宣伝している法律事務所がでてきています。この専門性表示については、日弁連の規制上問題があるということを、皆さん、ご存じでしょうか。
実は、専門性の広告については、明確に禁止している規則はありません。すなわち、弁護士の広告に関しては、下記のとおり、弁護士の業務広告に関する規程がありますが、ここでは、第3条で、誤導とか、誇大広告などが禁止されています。ちなみに、法令に反する広告も禁止されているので、屋外広告物条例例に違反することは許されません。なお、このため、京都の弁護士事務所の中には違法看板がでたままになっているところがありますが、横道から少しずれる話ですので、これぐらいにしておきます。
http://www.nichibenren.or.jp/ja/jfba_info/rules/data/kaiki_no.44.pdf
この規則の解釈に関しては、第13条で会長が指針を定めることができるとなっていますから、これを受けた「弁護士及び弁護士法人並びに外国特別会員の業務広告に関する運用指針」なるものが定められており、これは、下記のとおり、平成18年3月に一部改正されています。
http://www.nichibenren.or.jp/ja/jfba_info/rules/data/kaiki_gyoumukoukoku_unnyoushishin.pdf
この中に専門分野に関して既述されており、専門分野の表示は好ましくないとされています。第三の二の11です。
専門分野と得意分野の表示
① 専門分野は,弁護士情報として国民が強くその情報提供を望んでいる事項である。 しかし,現状では,何を基準として専門分野と認めるのかその判定は困難である。 弁護士として一般に専門分野といえるためには,特定の分野を中心的に取り扱い,経験が豊富でかつ処理能力が優れていることが必要と解される。ところが,専門性判断の客観性が何ら担保されないまま,その判断を個々の弁護士に委ねるとすれば,経験・能力を有しないまま専門家を自称するというような弊害もおこりうる。
従って,客観性が担保されないまま「専門家」,「専門分野」の表示を許すことは,誤導のおそれがあり,国民の利益を害しひいては弁護士等に対する国民の信頼を損なうおそれがあることから,現状ではその表示を控えるのが望ましい。専門家であることを意味するスペシャリスト,プロ,エキスパート等といった用語の使用も同様である。
なお,現実に「医療過誤」,「知的財産関係」等の特定の分野において,「専門家」というに値する弁護士及び外国法事務弁護士が存在することは事実である。しかし,弁護士間においても「専門家」の共通認識が存在しないため,日本弁護士連合会の「専門」の認定基準または認定制度を待って表示することが望まれる。
② 「得意分野」という表示は,その表現から判断して弁護士の主観的評価にすぎないことが明らかであり,国民もそのように受け取るものと考えられるので許される。しかし,主観的であれ得意でないものを得意と表示することは事実に反する表現と認められるおそれがある。従って,豊富な経験を有しない分野については,「積極的に取り込んでいる分野」や「関心のある分野」という表示の方が,正確かつ誠実である。
③ 取り扱い分野」,「取り扱い業務」という表示は,専門等の評価を伴わないので許される。
従って、弁護士事務所が特定の分野について専門であるかのように宣伝することには、問題があるわけです。取扱分野などとして表示するのが差し障りのない広告となります。専門性を表示している事務所は、おそらく上記の運用指針を検討していないわけですから、ルールに従うべき弁護士としては問題があるということになります。
但し、市民の側からすれば専門性の表示はいつも指摘されるニーズですから、何年も前から議論はされてはいるのですが、誰がどのような基準で専門性を認定するのかなど、この専門性の認定制度を作ることやルール設定が難しいので、上記のとおり、歯切れの悪い運用指針となっているわけです。
私は、専門性の広告は、一定の禁止事項だけを取り決めて、原則自由とし、禁止事項に違反した場合には懲戒等の問題となるというようなことにして、各事務所の宣伝努力を認める方向が望まれるのではないかと思います。日弁連が専門性認定をするということだとそれだけで多大な労力が必要となって日弁連の肥大化を促進するだけですし、弁護士が上から統制されるような組織になる危険性もあると思うからです。その上で、問題がある事務所に対しては、市民の側から問題を指摘できるようなシステムを構築することが必要なのではないかと思っています。

2007/11/15

消防士の安全確保のために危険建物地図を作成するべきでは

京都市では、老朽木造家屋の火災の際、家屋が崩れて消防士が亡くなる事故が発生しています。同じような事故は、北海道でも発生したばかりです。私は、これらの不幸な事故は、老朽家屋が明らかに危険な状態でも使用され続けていることが背景事情となっていると思います。老朽家屋の建替が進まないのは、以前にも指摘したように、屋根に穴が開くぐらいでないと「朽廃」と認めないとする時代遅れの最高裁判例とそれに拘束されてしまっている裁判所にも一定の原因があるように思いますが、危険な建物がその建物の住民や使用者だけでなく第三者にも危険を及ぼす存在であることが理解されないまま、危険家屋除去のための法律の整備が遅れていることに最大の原因があると思います。大阪や京都は、老朽木造家屋が多いために、大地震による被害は甚大なものとなるという予想もされているようです。ところが、京都市は、2007年に建築規制を大幅に強化した結果、現況と同じような建物が建たない地域が格段に広がっており、そのような中で建物の建替を進めるための政策が欠落している結果、建物の建替が進まずに老朽建物がますます増加することが強く懸念される危険な都市になりつつあります。少なくとも、消防士の安全確保のためには、危険な老朽建物を把握し、室内への消防士の突入の可否の判断基準とすることが必要だと思います。なお、このような考えだと、危険建物の利用者の命が守れないとか、差別するのかという非難を受けるかも知れませんが、そもそもそのような危険建物については使用を中止させるという制度が早急に作られるべきであって、利用を許容していることに問題があると思います。危険な建物の把握は、今の法制度の中でも可能なはずですから、市民の安全を守るために命を賭けて働いておられる消防士の安全の確保のためには、危険建物の把握作業が急務ではないかと思います。

2007/11/14

司法書士には簡易裁判所に提出する書類以外には裁判所に提出する書類の作成権限がないことにしましょう

司法書士には、簡易裁判所の訴訟代理権が付与されましたが、地方裁判所や高等裁判所の訴訟代理権が付与されたわけではありません。しかし、一部の司法書士は、地方裁判所に提出する書類について、送達場所を自らの事務所に指定したり、場合によっては、事件本人のFAX番号だとして司法書士事務所のFAX番号を記載するなどして、事実上地方裁判所事件の代理行為を行っています。地方裁判所事件で平気で和解交渉をしている司法書士もいます。これは、一見すると、法律専門家の援助を受けているようで、本人にとって利益となっているかのごとく誤解される方がいるかも知れませんが、地方裁判所では弁護士が代理することになっているにも関わらずその代理を受けさせないということ、司法書士は本人に代わって法廷で弁論できないことから、結局のところ本人が直接に弁護士との対応を迫られるという点で、本人にとって不利益を強いる行為です。また、司法書士が破産事件や個人再生事件の書類を作成して地方裁判所に提出する行為も目立っていますが、これらの書類に不備が多い事例が散見されたり、本来監督委員が必要ではない事件でも弁護士が監督委員に選任されるなどして、不要な費用支出を迫られる例も多くなっています。これは、いずれも訴訟代理権がない司法書士が地方裁判所に提出する書類を作成することを許容していることから来る弊害です。司法書士とすれば、自分の権限を超える問題の相談を受けた場合には、自分で処理せずに弁護士にふればいいだけのことです。弁護士は、双方代理が厳しく制限される上、紛争処理を主たる業務としていて、司法修習や実務経験を通じて紛争処理のトレーニングを積んでいますが、司法書士は、登記手続において双方代理が認められているため、双方代理に対して寛容であったり、紛争処理に際してトレーニングも積んでおらず、刑事手続について疎いなど、紛争処理の専門家としては、弁護士とは質的に大きく異なります。ですから、簡易裁判所で訴訟代理権が付与されたことが例外的なことなのです。この付与による弊害が目立ってきている以上、司法書士には、簡易裁判所に提出する書類以外には裁判所に提出する書類の作成権限がないことにして、地方裁判所で事実上の代理行為をすることを禁止するべきだと思います。また、民事訴訟法を改正して、地方裁判所事件の送達場所については、本人の住所や居所、勤務地ではない場所としては、弁護士事務所以外は許容しないようにするべきだと思います。これは、行政書士による同様の行為を防ぐ意味もあります。