2008/10/01
景観について考えてみる
景観問題で、赤と白の壁面でデザインされた楳図かずお氏の自宅をめぐる訴訟が話題となっている。赤白の色調は、日本で古くから存在する色調と思うのだが、景観を害していると主張する人もいるらしい。表現の自由と景観の調和という難しい問題だが、実物の写真をネットでみた限り、割と簡単に決着がつくのではないかと思う。
この点、京都では、景観問題と言うと、イコール高さ規制、という極めて偏った議論が続いている。個人的には、高さを規制するよりも、道路幅を広げたり、公開空地を広げたりして、水平面の視野を広げた方が開放感のある町並みになると私は思っているのであるが、そんな縦か横かという問題よりも、朽ち果てたような家屋があちこちに放置されているということの方が景観上も問題である。実際、建築規制の厳しい京都御所の近辺では、あちこちに危険な木造家屋を発見することができる。この放置の方が景観保護という観点からは、問題である。もちろん、景観保護以前の問題として、危険であるということは言うまでもない。
老朽化した危険な家屋が放置される原因の一つに「朽廃」という法律解釈の問題があるということは、私が何度も指摘していることであり、その解釈論の変更を裁判所に頼っていては遅すぎるということも、何度か指摘させてもらっていることである。
経済政策的にも、このような危険家屋の建替を促進することは内需拡大に役立つし、高齢化社会の到来に備えて住宅のバリアフリー化を推進することにも役立つと思うのだが、いかがであろう。