2010/04/01
司法試験の受験資格をロースクール卒業にする必要はないのでは?
現在の司法試験は、ロースクールを卒業しないと受験できないシステムになっています。この結果、司法試験の受験生は、必然的にどこにも在籍していない無職者になる時期があることになります。昔の司法試験もかなりの人が無職者でしたが、制度的にそうなっていたわけではありません。在学中に合格できる人も沢山おられました。ところが、新司法試験では、全ての受験者がどこにも在籍していない無職者ということになります。この結果、日本社会では転職が難しくなってしまいます。また、上記のシステムが採用されている結果、修習開始時期が年末となり、修習終了後の就職時期も年末となることから、年金などの加入や継続の問題がややこしくなっています。これは、不合理なように思います。
こんな不合理な制度は早く改善して、私は、ロースクールの在学中に司法試験を受けることができるようにしたらいいと思います。試験に合格していたら、卒業して修習にゆけばいいし、不合格だったら、卒業して無職の状態で試験を再受験するか、留年して再受験するか、あるいは、転職するか、自分で決めることができるようにしたらいいと思うのです。他方で、司法試験に合格したけれどもロースクールは卒業できなかったような人は、卒業できるまで修習生にはなれないということになりますから、ロースクールでの勉強をおろそかにする人もいなくなるはずです。
ロースクールの卒業を司法試験の資格としているのは、実務的な総合教育を受けさせようとするためでしょうが、私は、この目的を達成するためには、ロースクールの入学を司法試験の受験資格とすれば足りるのであって、卒業を受験資格とする必要はないと思います。修習生となるための資格として、ロースクールの卒業と司法試験の合格というものがあればいいということにすれば、上記の目的は達成できるはずですから、わざわざ浪人生を制度的に作り出す理由はないと思うのです。
こうすれば、司法修習も4月から開始できますので、就職時期も今のような年末ではなく、4月にすることもできますから、現在の修習制度が抱えているかなりの矛盾が解決できるように思います。
もっと言えば、司法試験の受験資格は、ロースクールに入学していれば足りることにしてしまって、1年目から受験はできるようにしてもいいと思います。そして、その中から特に優秀な人、例えば上位300人程度については、司法修習生となる資格も与えてやることにすれば、司法試験のバイパスのような予備試験制度も無くすことが可能だと思います。試験問題の作成や採点などに要する無駄も省くことができる点も、予算の無駄遣いを減らすことにつながります。そして、この無駄を省いたお金で、修習生の給与制を維持する方向に変えてほしいと思います。