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弁護士法人 白浜法律事務所

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白浜の思いつき
白浜の思いつき

2010/05/11

タウンページで弁護士を選ぶのは難しいかも

 5月中旬は、新しいタウンページが届く時期です。最近大きく変わってきているのが、弁護士の欄です。正直、よりどりみどりで、私でも、こんな弁護士さんおられたのかとか、こんな事務所あったっけと驚くような状況になっています。
 私は、弁護士登録した1987年にニューヨークなどの見物にでかけたことがありますが、そのときに目にした電話帳の弁護士欄をみて、顔写真がついていたりクレジットカードOKと書かれていたりして驚いた記憶があります。ただ、このときのアメリカの電話帳広告よりも、今の日本のタウンページの弁護士欄の方がカラフルでわかりやすくなっているように思います。
 これまでの弁護士情報は、口コミによる情報が主流で、タウンページなども貧弱で、ホームページも持っていない弁護士事務所が多かったため、タウンページだけで弁護士を選ぶ人は少なかったように思います。
 逆に言うと、著名な事務所とか、優秀な弁護士は、口コミで評判が広がっていたので、業界内部で評価の高い弁護士もタウンページの広告は小さかったりすることがよくあったように思います。このため、業界内部で著名な事務所が、現在でも小さな宣伝しかしていなかったりします。
 つまり、業界内部での評判とタウンページの宣伝からもたらされるイメージは必ずしも一致しないということになってきているわけです。
 加えて、最近の就職難のために、弁護士事務所への就職ができずにいきなり事務所を開業したような経験の蓄積のない弁護士も増えてきているわけですが、そのことは、タウンページなどの宣伝をみただけでは容易にはわからないということにもなります。
 このようなことを言うと、もっと弁護士会で責任をもった広報をするべきではないかとのお叱りを受けそうですが、弁護士の広告も昔と比べて自由になっていますから、弁護士会が個々の事務所の広告の規制を行うことも難しいというのが現状です。
 弁護士を増やして競争させようとしたのが「司法改革」のようですが、結果的に、市民の側にも弁護士選択に関する責任が重くのしかかってきているように思います。
 私としては、こんな事務所を選んで損をしたと思われることのないように、研鑽努力して、口コミ評価を上げるようにするのが一番だと思っています。

2010/05/05

失火責任法はそろそろ改正した方がいいのでは?

 類焼で自分の家が焼けた場合、火事をおこした人が責任をとってくれるはずだと思っている方が多いのではないかと思います。しかし、日本には、失火責任法(正しくは、「失火ノ責任ニ関スル法律」)というものがあり、失火については、原則として不法行為にならないこととされていて、失火者に重大な過失があった場合には、例外的に損害賠償責任を負担することになっています。このため、日本では、類焼の場合に火事をおこした人に責任をとってもらうことはできないのが原則ということになっています。
 どんな場合が、重過失になるかというと、寝タバコなどの場合ということになっていますし、その立証も、個人情報保護などを理由にして、消防署や警察が調べた書類に接することが制限されていて、非常に難しくなっていますから、被害回復は、自分の火災保険に頼らざるを得ないというのが日本の実情です。
 この法律が作られた根拠は、日本には木造家屋が多いので、失火の類焼にまで不法行為になると、失火者に過大な責任を課すことになるからということのようです。しかし、私には、火事という重大な結果をもたらした人に過大な責任を負わすのが不当とは、そもそも思えません。また、火事の場合に類焼となることが多かったというのは立法当時の事情であって、建築基準法によって厳しい建築制限が課せられている現代建築にはそもそも妥当しないようにも思います。また、木造家屋が隣家と隙間なく建築されていたとしても、それをやめさせるようにすることが安全な町作りであって、木造家屋が隣家と隙間なく建築されているような危険な町並みが残っているから、火事をおこした人の責任はないようにしてあげましょうというのはおかしいように思います。このような法律が今の時代にも残されているのは、失火責任法というものを当たり前の制度として受け容れてきた法律家の責任のように思います。
 この法律をなくすことでどんな影響がでるのかということを考えてみた場合、確実に影響がでるのは、火災保険に類焼責任をカバーするような商品が必要となるということです。このため、保険料率などが大きく変わってくるかも知れません。しかし、類焼で自分の家が火事になった場合はカバーされているはずですから、全体としての保険料率が大きく変わることはないようにも思うのですが、私は、損害保険の設計には携わったことがないので、正確なことはわかりません。ただ、火災保険の商品構成の問題があるからと言って、火事を発生させた側が責任を負わないような制度が現代にも残っているのはおかしいように思います。

2010/04/22

貸与制と修習専念義務

新64期の修習生からは、修習生の生活費は、給費制として給料を支払って保障するのではなく、貸与制として生活資金を貸し与えることにすることが既定路線とされていますが、日弁連はこれに反対する方向で運動を開始しています。
 他方、修習生には、修習専念義務があるとされ、司法修習生に関する規則の第2条では、「司法修習生は、最高裁判所の許可を受けなければ、公務員となり、又は他の職業に就き、若しくは財産上の利益を目的とする業務を行うことができない。」とされています。このため、司法修習生がアルバイトをしていることがわかってしまったときには、罷免理由になるということとなっていました。
 問題は、貸与制が採用された後にも、この修習専念義務が維持されるのかということですが、上記の修習専念義務条項は削除されていないので、貸与制の採用後も修習専念義務は維持されるということになるようです。
 しかし、そうなると、修習生は、貸与された資金、つまり借金でしか生活を維持するしか方法がないことになります。私には、収入を得る方法を制限した中でのこのような一方的義務づけは経済的自由の侵害のように思えます。
 ところが、最高裁は、給費制と専念義務は直結する概念ではないとしているようです。具体的には、以下の2点を指摘しています。「一つは、修習専念義務の中身は何かということである。きちんと授業に出ることや兼職しないことなど一つ一つについて、給費制の場合と、貸与制の場合をそれぞれ検討していく必要があろう。もう一つは、修習専念義務はどこから生じてくるのか、ということである。修習専念義務は、法曹養成においては臨床課程を踏むべきであるということに淵源があり、それをきちんと支えるために、給費制とするのか貸与制とするのか、という関係にあり、給費制から修習専念義務が生じてくるのではない。」と言うのです。
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/sihou/kentoukai/yousei/dai21/21gaiyou.html
 しかし、収入の道を閉ざされた修習生が借金漬になり、法曹となったスタートの段階で多額の借金を抱えているという状況は決して好ましいものではありません。そのように考えると、修習生が生活資金を得るためのアルバイトまで禁止するのは行き過ぎた規制のように思います。また、上記の最高裁の考えは、司法修習によって臨床課程を踏むことで技能が与えられることに着目しているように思えます。しかし、現状では、司法修習の終了は、法曹としての就職を保障するものではなくなっています。単なる資格の付与に過ぎないのが実情です。つまり、専念義務によって収入を得ることを制限する見返りが著しく軽いものになってしまっているわけです。かかる観点からしても、現行の合格者数を前提としながら給費制を廃して修習専念義務を維持することは不当なことのように思えてなりません。
 ただ、短期間に制限された修習期間の中で法曹としての知識経験を得ようとした場合には、事実上修習に専念しないと二回試験に合格できるようなレベルに到達することが難しいことも確かです。ですから、養成課程に関わる側が専念義務を維持したいという心情もわからないではありません。
 そう考えると、一番いい解決策は給費制の維持しかないように思います。給費制が維持されるよう、私も、微力ながらも、日弁連の提起する運動に参加してゆこうと思っています。

2010/04/21

新63期の就職状況について思うこと

今年は、東京で大手事務所が採用を抑制しているということを聞きます。このため、新63期の就職状況は、新62期と比較するとかなり厳しいものとなっています。京都の場合、就職先が確保できた人とできていない人の割合が昨年と比べると完全に逆転してしまっているようで、第3クールの中盤であるにも関わらず、就職先が確保できている人が圧倒的に少ないという状況になってしまっているようです。私としては、関係する人が就職できるように精一杯努力しているところですが、私のところに集まる情報も厳しいものが多くて、どうすることもできないというのが現状です。
 そのような中にロースクール関係者からでている合格者3千人堅持などという意見を目にすると、若者の人生をどう思っているのか疑問に思えてなりません。今、私がロースクール関係者にやってほしいと思っていることは、卒業生の進路相談に真剣につきあって一緒に就職先を探すことに尽力することです。資格さえ与えてやればいいということでは困るのです。