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弁護士法人 白浜法律事務所

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白浜の思いつき
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2012/09/12

2012年の司法試験の合格者と今後の就職戦線について

2012年度の司法試験の合格者は、2100人を超えてしまいました。総務省は、国費が有効に使われているかという観点から、合格者数が多すぎるということを指摘していたわけですが、その勧告が無視されたということになるように思います。貸与制が採用されたとはいえ、司法修習には国費が投入され、指導担当の弁護士や裁判官、検察官など多数の人達が関わって支えているということは決して軽視されるべきではないと思います。
司法修習は、弁護士や裁判官、検察官を養成するために行われるものですから、弁護士や裁判官、検察官にどれだけの人がなれたのかということが厳しく問われるべきことは、当然だと私は思うのです。ところが、2011年の年末における新64期の修習生の弁護士未登録者は400名を超えています。1年ぐらいすればかなりの人が弁護士として登録しているなどというような話がでたこともありますが、60期以降は、既に弁護士を廃業する人が次第に増えてきていることや、新64期については、一括登録後の弁護士登録もあまり芳しくないということは、先日のブログで述べたとおりです。
65期の就職については、個人的に履歴書の作成や面接に関する指導などもするなどして、小さな支援活動をしてきたわけですが、全体とすればかなり厳しいものになることは間違いありません。おそらく、一斉登録時点における65期の弁護士登録は、新64期よりも厳しいものになる可能性が高いのではないでしょうか。他方で、初任給などの就労環境が1年毎に急激に悪化していることも、既に指摘させていただいたとおりです。
このような中、2012年度の合格者、つまり66期修習可能者が2100名を超えることになったということは、66期の就職環境が更に悪化することを意味しています。
ただ、どれだけの人が実際に修習するのかはわかりません。今現在修習生が置かれている就職状況を踏まえれば、企業に就職される方や公務員などの方向に進まれる方も増えて当然のことだと思います。
その上で、修習の方向を目指すのであれば、既に就職戦線は前哨戦ではなく、中盤に差し掛かっていると思って、活動を開始された方がいいと思います。
ちなみに、私の事務所のサマークラークでは、ほとんどの人が合格されたので、ほっとしています(残念ながら、1名不合格ということのようですが、捲土重来を図ってもらいたいと思います。)。驚いたのは、残念ながらお断りさせていただいた方もほとんど合格されていたことです。早期に就職活動をされている方は合格率も高いのだろうと推察しています。
とりあえずは、10月6日に大阪弁護士会館で開催される「第66期司法試験合格者等対象「ひまわり・スタッフ・独立開業支援 採用情報説明会~弁護士のあり方を地域から考える~」大阪会場が、66期就職戦線の初戦となるものと思います。ただ、数年前の弁護士過疎地域ほど弁護士人口の急増が顕著なので、この催しでは、数年前のように沢山のブースが置かれることにはならないと思います。修習予定者が100名以上集まっても、指で数えることができるぐらいのブースしかないということになる可能性が高いでしょう(その意味するところは西日本全体で数えるほどしか募集がないということです。)。ここで、就職状況の厳しさを知ったとして、そこでめげていては、弁護士になる道は厳しいということになります。
http://www.nichibenren.or.jp/event/year/2012/121006.html
本当に厳しい時代になってしまいました。7年前から警告を発してきた者としては、内心忸怩たるものがあります。私自身が、司法試験合格者の保護者の方々と同年代になってしまいました。子どもと同年代の方が合格者の方々に増えてきたのです。親の立場として考えてみた場合、保護者の方々のご心配はよくわかります。合格された方には、何とかがんばって夢を実現させてほしいと願うばかりですが、弁護士になったとしても厳しい経済環境が待っているということは覚悟された上で、保護者の方々ともよくご相談された上で、進路は選択された方がいいと思います(皆さん成人でしょうから、保護者と相談ということでもないのかも知れませんが。)。

2012/09/08

ベトナムにいってきました

先日、ベトナム工場往査というお仕事をしてきました。会計帳簿をチェックするような作業ではなく、法令遵守が徹底できているかとか、管理体制のチェックが主な仕事でした。実際にいってみると、どんな仕事をしてどんな点に問題があるのかがよくわかりました。
ところで、ベトナムは、現在、大いに経済が発展中ということで、すごい数の原付バイクが走っています。信号のある交差点はほとんどなく、横断歩道も少ししかありませんから、走っているバイクをすり抜けるようにして、道路を渡ることになります。逆走もたまにありますから、自動車に乗っていても、何となく落ち着きません。ただ、自然と譲り合っているので、そこら中で事故が発生するというようなことにはなっていませんでした。
高層ビルが建築されています。日本の建設会社も進出していますが、韓国系企業の進出もめざましく、現地で働いている人の話によると、オフィスビルやマンションの建設は、韓国系の建設会社が請け負っていると聞きました。日本のゼネコンは、工場の建設に関わることが多いのではということでした。
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ちなみに、自動車でもヒュンダイが目立ちました。ドイツ車や日本車の数も急増しているようです。日本車は、高級車の扱いのようです。タクシーには日本車が目立った印象でした。
現地の皆さんが食事するところでは、生春巻を自分で巻いて食べたりします。重なったまま皿に置かれたライスペーパーを1枚1枚はがしてから、レタスやもやし、ニラなどを豚肉と一緒に巻いて食べます。日本の手巻き寿司のような感覚です。
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ちなみに、ビールは氷を入れて飲みます。人参は少し甘く煮てありますので、ミツバチが寄ってきていました。
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まだまだベトナム戦争の名残はあって、戦争に関する記念館もあったりしますし、観光客も多いです。
戦争証跡博物館です。
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外には、戦闘機や戦車などが置いてあります。内部の展示は、枯れ葉剤の影響を受けた子どもの写真とかソンミ村の大虐殺の写真なども展示されています。内部は、写真を撮る気分にはなれませんでした。
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ベトコンのゲリラ基地も、今では博物館のようになっています。クチトンネルと呼ばれています。
落とし穴の写真です。
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B52の爆弾が落ちた跡です。クレーターのようになっています。
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2012/09/04

続:弁護士を廃業する人が増えていること(期別に分析してみた)

既に何度かこのブログでご紹介させていただいたように、弁護士の廃業が増えているということは、請求退会者の増加という現象ということでよくわかるようになってきています。今年は、請求退会者が年間300名を超えそうな勢いになっていますので、その傾向は更に強くなっています。今回は、期別の特徴ということについて、分析を加えてみました。
弁護士を特定する情報の一つとして、修習期がありますが、従来型と新修習が併存している新60期以降の弁護士について両者を区別することは、日弁連の中でも一部の人にしかできない作業です。ただ、弁護士でありさえすれば、日弁連の会員専用ページから、両者を合わせた人数を検索することが可能です。
この点、2012年9月3日の現在の60期から64期までの弁護士の人数は、60期は2,076名、61期は2,114名、62期は2,096名、63期は1,920名、64期は1,903名ということになります。
それぞれの二回試験合格者数から、裁判官や検察官に任官した人の数を差し引いた人数は、60期は2,145名、61期は2,148名、 62期は2,162名、63期は1,972名、64期は1,983名となっています。その後の退官者を考慮する必要はありますが、理論上は、弁護士になることができる人の上限は、上記の人数が基準ということになります(中途退官者がでてくればその分増えることにはなるので注意が必要です。)。しかし、この人数に達した期は、60期以降はありません。
なお、日弁連で公表されている数字によりますと、12か月後の登録数(新と現行を合わせた理論上の数字です。)は、60期は2,121名、61期は2,112名、 62期は2,123名、63期は1,926名となっていますので、登録できる最初の段階では弁護士登録ができなくても、統計上は、かなりの人が弁護士登録ができていたということにはなります。
ところが、60期は、私が調べた限りでは、上記の2,121名という人数を検索できたことがありません。私が気になって60期の人数を調べてみた最初の日である2012年5月21日の2,094名が一番多かったのですが、今や2,076名と減少の一途をたどっています。つまり、60期の弁護士人口は、1年後辺りがピークで後は減っているということになるわけです。
62期でも、私が調査した限り、2,123名という数字が検索できたことはなく、調査を開始した2012年3月30日の2,108名がピークで、後は減少し続けて、今や2,096名となっています。この期でも1年後辺りがピークということが推察できます。
63期でも、私が調査した限り、1,926名という数字が検索できたことはなく、2012年4月30日の1,925名がピークですが、同様に減少して、今は、1,920名となっています。この期でも1年ぐらいでピークとなるということになりそうです。
これに対し、61期だけは、2012年6月14日までは少しずつ増加し、同日の2,122名がピークで、今は減少に転じ、現在は、2,116名となっています。この61期の動きだけが他とずれていて不思議なのですが、私は、検察官の退官者がでてきているのではないかと推察していますが、確証はありません。61期の場合、検察官の採用数が多かったことが気になっているのです(検察官の採用数は、現行61期が20名で、新61期は73名ですが、それぞれ裁判官は24名と75名なので、例年の採用数と比較すると検察官の採用数が多かった年になります。)。
なお、64期は、まだ二回試験から1年も経っていないため、さすがに次第に増加していたのですが、2012年8月25日には1,904名あったものが、同年9月3日の段階で1,903名と既に頭打ち傾向が生じたようです。
このように、若い期の人達に弁護士を廃業する人が増えてきていることは統計上のデータとしてもはっきりしつつあるようです。先日も指摘しましたが、今の法曹人口政策は、弁護士に自由競争をさせようとしているものではありません。犠牲になっているのは、若い世代の人達なのです。市場を無視した過度な供給を続けることは、養成をする教育機関の関係者に利益を与えるだけで、そこに授業料などを払って資格を得た若い人材に矛盾のしわ寄せがいっていることになると思います。
理論上の上限数         ピーク数      2012年9月3日現在の人数
 (2回試験合格者から  (白浜調査限りのもの)
 任官者を除いた数字)  (日付は白浜の調査日)
60期 2,145名 2,094名(2012年5月21日)  2,076名
61期 2,148名 2,122名(2012年6月14日)  2,114名
62期 2,162名 2,108名(2012年3月30日)  2,096名
63期 1,972名 1,925名(2012年4月30日)  1,920名
64期 1,983名 1,904名(2012年8月25日)  1,903名
※ 1年後の登録者数の単純合計がわかっているのは、以下のとおりですから、61期以外は、1年ぐらいで弁護士人口は頭打ちとなっているように思います。ただ、この数字は、現行と新のそれぞれの数字ですから、測定時期にずれがあることになり、実際に両者合わせてこの人数が登録していたかどうかはわからないということに注意が必要です。また、64期は、まだ登録できるようになってから1年になっていないので、この数字は測定すらできていないということになりますが、一瞬のこととはいえ、減少に転じたということになります。
60期 2,121名
61期 2,112名
62期 2,123名
63期 1,926名

2012/09/03

日弁連のまとまりは維持できるのでしょうか

先日のブログでは、日弁連には、これまでの2年間の全否定のようなことにならずに、これまで活動してきた人を取り込む方向に動いていただくことを期待していると書かせていただきました。
http://www.shirahama-lo.jp/blog/2012/05/post-141.html
しかしながら、どうも、今の日弁連は、私の期待していた方向とは、逆の方向に向かいつつあるように思えてきました。
この数年の弁護士業界の変化は驚くほどのものがあります。全体を見渡せば、経済的な地盤沈下が急激に進んでいるように思います。若手の弁護士の会務離れ(弁護士会の仕事に参加しなくなることを言います。)にも顕著なところがあります。
私が最近経験したことからは、修習指導担当弁護士の確保すらかなり難しくなっているほど、弁護士に余裕がなくなっていることを感じています。修習生を置いておくほどの余裕がない、これは主には事務所のスペースが狭く修習生の机がないということだけでなく、手持ち事件からして修習生に配点するような事件がないという仕事の実態からも余裕がないという弁護士が増えているということを意味しています。修習指導は弁護士全員が受けてきたわけですから、自分が弁護士になってから修習生を指導するということは、弁護士の公益活動の基本中の基本と言っても過言ではないことですが、それをやりたくないと公言する弁護士も増えているということは、弁護士の会務離れの象徴のようにも思えるのです。私は、このようなところにまで会務離が及んできたこと、そして、その背景に経済的地盤沈下があると推測されることに強い危機感を覚えています。
他方で、この数年、日弁連としてめざましい活動があったのは、給費制維持のための運動ですが、これらの方々の意欲が急激に冷めつつあるように思います。私が関わってきた法曹人口問題に関する運動も、その母体であった法曹人口政策会議はなくなってしまい、日弁連としてはこれに代わる運動母体が用意されないままですから、このまま消えてしまいそうな状況です(公約はどうだったのか確認できていませんが、夏も終わりそうな時期になって、衆議院の解散の動きもあるというのに、未だに運動母体が用意できないということでは、やる気はないと公言しているようにも思えてなりません。)。他方で、選挙規定の改定作業とかは急激に進行しているようですし、「これからの司法像に関する基本的提言」なるものが、日弁連の各委員長に配布されて、日弁連がこれまで支持してきた法曹人口増加政策には充分に配慮して委員会活動をせよと言わんばかりの方向性が示されているようです。
これでは、日弁連が一体となって今迫りつつある危機に対応することは望めないと思います。給費制維持運動を支えたり、法曹人口問題について熱心に議論していた方々は、真摯に日弁連のことを考えて活動していたということには充分に配慮していただきたいと思います。今は日弁連が一丸となって危機に対処する必要があるのであって、排除の論理は採るべきではないと思うのです。