2010/05/21
龍谷大学ロースクールでお話しさせていただきました
5月20日に龍谷大学のロースクールで、ロースクール生の皆さんを相手に、弁護士の過疎・偏在問題の現状について、お話しさせていただきました。
司法過疎問題は、最近大きく変動している問題です。龍谷大学ロースクールでは、司法過疎問題の解消を、建学の柱の一つと考えておられるということらしく、私のお話にも、熱心に耳を傾けてくれました。
私は、体系的な勉強が苦手な方なので、実務的なお話以外は、講義や講演などは滅多にしておりませんし、ましてや、大学関係での講演などやったことがありませんでしたので、少し緊張しました。
私がお話ししたのは、弁護士の過疎・偏在問題は、急激に解消されているということです。つまり、平成22年5月1日現在、いわゆるゼロワン地域は、ゼロ地域が0、形式上のワン地域が5、そのうち2カ所は法人の支所があるので、実質的にも3しかなくなっているということ、これまで弁護士が少なかった県でも、弁護士が急増していて、10年前と比較して200%以上の弁護士人口となっているところも多数あるので、弁護士人口の急増で都市部に弁護士が増えているという認識は誤りであることなど、急激に変化しつつある弁護士の過疎・偏在の現状です。
弁護士の過疎・偏在問題が急速に改善されている現在、司法過疎の問題は、裁判官が常駐していない裁判所支部が多数あることや、正検事がいない検察庁支部はそれ以上に多いことなど、官側の過疎に焦点が移ってきています。これは、裁判官や検察官の数の増加が弁護士の人口増に比べて微々たるものに留まっていることに主な原因があります。この問題もお話しさせていただいたのですが、ロースクール生にもあまり知られていなかったらしく、裁判官が常駐していない裁判所があるということに驚いている方もおられました。
以上が概略ですが、今回は、法曹の卵になる方々相手のお話ですから、過疎地域にゆけば仕事があるというのは、もはや虚偽宣伝であって、過疎地域でも経営が困難なところがあることもわかってきているのが今の現状なので、どこで弁護士をするかは慎重に見極める必要があることなどもお話しさせていただきました。
私は、弁護士が偏在していて、弁護士による法的サービスを受けることができない地域があるようでは、弁護士の法律事務の独占は国民から支持されなくなるということを感じて、弁護士の過疎偏在問題に力を入れるようになったのですが、私がこのように考えるようになったきっかけは、寺田先生が京都弁護士会の会長をされていた頃に、弁護士会で北部の法律相談センターを開設するという話がでてきたときの議論でした。今回、寺田先生のご紹介で、このお話しをする機会をいただいたので、不思議な縁を感じているような次第です。私は、少しでも沢山の人に弁護士過疎偏在問題の現状を知ってもらうことが大事だと思っておりますので、学生の皆さんに熱心に聞いていただいてありがたく思いました。