「子どもたちが遺産を巡って争わないように」、「遺産を希望するところに寄付したい」…
自らの思いを遺言に残す方が増えています。
日本公証人連合会のWEBサイトによると、令和5年の遺言公正証書の作成件数は、11万8981件で、前年から約7000件増えました。公正証書にせず自筆で作成した遺言は、法務局の遺言保管制度を利用しない場合、相続発生後に遺言書の検認という手続が必要になるのですが、最高裁判所の司法統計によると、令和5年の全国の遺言書の検認申立は2万2314件で、前年から約1800件増えました。法務省の資料によると、令和5年の全国の法務局で自筆遺言を保管した件数は約1万9000件であり、これも前年から増加しています。これに対し、同時期の高齢者人口は概ね横這いでした。
統計データだけでは全ての件数を拾いきれないのですが、少なくとも、公正証書にしたり、法務局の遺言保管制度を利用したりすることで、きちんとした形で遺言を残そうとされる方が増えているとは言えそうです。
紛失や偽造の心配をしなくて済むよう、公正証書にするなど形式面で問題がないようにすることはもちろん大切なのですが、「相続人同士が争わないように」など、遺言を作成された方の思いが実現される内容の遺言とすることも、これに劣らず重要です。
2024初春号事務所報にも書かせていただいたとおり、不動産をお持ちの方、お子様がいらっしゃらないご夫婦で相続人となる兄弟姉妹(または甥姪)がいらっしゃる方などは、遺言をご作成いただいた方がよい場合が多いのですが、遺言作成に当たり注意すべきポイントは個別のご事情により異なります。そのため、遺言作成のサポートは、個別のご事情を踏まえ、十分な打合せを経てさせていただく必要があります。認知症になるなど判断能力が十分でなくなる前に、お早めに、遺言相続に精通した専門家にご相談ください。
著 弁護士 中川由宇
白浜法律事務所 専門サイト「遺言・相続あんしん相談室」でもご説明しております。ぜひご覧ください。