2017 初春号 vol.13 白浜法律事務所報
平成29年の年頭にあたり
弁護士 白浜徹朗
2016年は、大変お世話になりました。また、今年も、弁護士及び事務職員一同日々精進して参りますので、事務所所長として、ご挨拶申し上げます。
さて、昨年度は、私白浜が、京都弁護士会会長に就任したことで、事務所を留守にすることが多くなり、ご迷惑をおかけしました。2016年4月からは、ほぼ通常業務に戻って、仕事に精進しております。
昨年度の弁護士会の仕事は、期せずして憲法の問題が世論を賑わせ、法の番人たる弁護士会としては退くに退けないということになってしまった関係で、外部での演説などの機会が増えてしまいましたが、平行して、弁護士会の内部の業務改革も大きく進展させることに注力しましたので、超多忙な1年でした。結果的に、私のモットーである「任せていただいた以上は、全力を挙げて、いい仕事をする」ということは、達成できたものと自負しております。
今後の公務としては、弁護士協同組合の業務に関わることが増えるものと思っております。これは、いわば弁護士業界内の営業部門のようなところですから、皆様とお仕事の面で、おつきあいさせていただく機会も増えるかも知れません。企業運営の感覚をさらに磨くことができればと思っております。
ところで、2017年には、長年当事務所を支えてくれていた遠山弁護士が独立することとなりました。同弁護士は、刑事事件では、全国的に著名で、高い評価を得ておりましたところ、この刑事事件に集中し、刑事事件のプロとしての後継者の育成にも努めたいということで独立するとのことです。専門家を育てるという意気込をもっての独立は大変喜ばしいことと思っております。当事務所としては、全体としてのスタッフは少なくなりますが、さらなる人材確保に務め、皆様のニーズにお応えしたいと思っております。もちろん、刑事事件に関しては、これまでとおり、遠山弁護士と協力して対応したいと考えております。
私は、債権回収と倒産処理や建築関係の事件を数多く扱っておりましたが、昨年は、立退問題に関わることが多かったように感じております。また、相続相談も増え、遺言については、これまでの経験を踏まえた相当に複雑な遺言書を作成したりするなど、資産承継ということについて沢山のアイデアをひらめきましたので、まだまだしばらくは現役でがんばることができるのではとの自信をつけることができたように思います。
2017年は、当事務所の大きな転換点となる年になるものと思います。皆様、今後もこれまで同様のご指導ご鞭撻をいただきますよう、よろしくお願い申し上げます。
独立のご挨拶
弁護士 遠山大輔
これまで14年ほど白浜法律事務所で弁護士として活動して参りましたが、1月末をもって独立させていただくこととなりました。依頼者の皆様方には、大変お世話になりました。
厚く御礼申し上げます。ありがとうございました。
思えば、自由に過ごさせていただいた日々でした。もともと、刑事事件を自由にやってよい事務所に就職したいと思っていて(当時から刑事事件を敬遠する弁護士はいました)、白浜先生に「わしは若松芳也先生の修習やから」とご了承いただいたのが始まりでした(若松先生は、日本を代表する刑事弁護人です)。
その後、次々といろんな事件の弁護団に首を突っ込み、事務所事件をやらなくなっていったにもかかわらず、今日まで事務所で面倒を見ていただきました。
おかげさまで、私の貢献があったかどうかは分かりませんが、仁和寺放火事件、Winny事件、舞鶴女子高生殺害事件で無罪判決に関わることが出来ました。舞鶴事件での経験は、一生忘れないでしょう。また、2009年から始まった裁判員裁判について、先駆けてプレゼンテーションの観点から弁護活動を見直して必要な準備をし、1つの成果として、共著「法廷戦略入門~戦略的法廷プレゼンテーションの理論と技術」を世に出しました。裁判員裁判での全国初の無罪判決が、この本を参考にした弁護活動によってもたらされたことは、とても幸せなことでした。教師一家に育って教師にはなるまいと思っていた私ですが、京都大学、同志社大学、立命館大学、龍谷大学、京都府立教育大学附属高校、立命館宇治高校、京都府立八幡高校などで学生・生徒の指導をおこないました。今後も続けていきたいと思います。教え子と一緒に弁護活動をするのが今後の夢です。あと、変わった活動として、警察官に対する講演を定期的におこなっています。市民にとって適切な刑事司法を実現するために必要な取り組みだと思っています。
いまの私にとっては、裁判員裁判の弁護活動がもっともエキサイティングな仕事です。
これは、引退するまで変わらないことでしょう。
今回、独立を決意したのは、私なりのこれまでの刑事弁護に関する経験を次の世代に伝えていきたいと考えたからです。私が全力で仕事が出来るのはあと10年だと思います。
その10年の間に、3人の弟子を育てるつもりです。
新事務所は、戸田・遠山法律事務所となります。2期先輩である戸田洋平弁護士と事務所を切り盛りしていくこととなります。住所は、高倉通丸太町下ルです。もし、皆さまの知人が警察に呼び出された、逮捕されたとなったら、いつでもご相談下さい。
よろしくお願いいたします。
お勉強について
弁護士 拝野厚志
1.今回は、「お勉強」について書いてみます。
2.弁護士業界では、在庫の仕入れがないと言われますが、専門知識のインプットが仕入れにあたると思います。法令の改正、新判例など、最新の法律情報を入れていくのは当然として、事案に迫るためには、法律以外の専門的知識も取得することが必要になります。
専門や興味のある分野について、皆、法律以外の専門知識を仕入れており、それが専門につながります。
また、一旦、仕入れた知識についても、陳腐化しないよう、常にアップデートが必要になります。
3.整形外科分野の勉強に力を入れています。
私について言えば、最近は整形外科分野の知識の取得に力を入れております。交通事故案件、特に後遺症を主張しなければならない案件が増えている関係で、医学的知識、特に整形外科分野の専門的知識を要することが多くなっています。医学的な主張について、医師に任せきりではなく、こちらも検査結果や画像の分析等を行い、医師とディスカッションできるように、医学的知識の取得に励んでおります。後遺症の等級アップのためには、医学的な観点も交えた意見書が必要となることが多く、ベースとなる専門知識は主治医の先生からお聞きするとしても、その内容を整理して認定機関に伝える必要があります。そのとき、医学的知識がバックにあることが正確な理解に役立っております。
このような知識は、医療過誤訴訟に取り組んでいる中で身についたものが多くあります。それぞれの事件で医学的知識を勉強させてもらったことや、訴訟で使用するため揃えた文献が、交通事故でも大いに役立っています。また、医療訴訟に取り組む中で築かれた医師とネットワークにより、文献ではわからない暗黙知を知ることもでき、有り難く思っております。カルテの分析には、カルテの作法を知っていることも大いに役立っております。
4.専門的知識の仕入先について
専門的知識の仕入先は、文献が主となります。
紙の本と電子書籍で言えば、やはり紙の本に軍配があがります。
電子書籍は、目がチカチカして読みにくいうえに、情報へのアクセスが遅く、一覧性に欠ける(例えば2時間で一冊の専門書を読み切ることも紙の本の方なら可能ですが、電子書籍では困難です)ことから、やはり情報源としては紙の本が基本となっております。紙の本の欠点は場所をとることです。本棚に二重三重に収納し、それでも納まりきらず、今後、どうしようかと頭を悩ませております。
文献の分野としては、当然ながら、圧倒的に法律関係の文献が多くなります。我々の仕事では、法令の知識が不可欠であることから、法令に関する文献を揃えておくことになります。法令の知識だけでなく、実際の運用について知らないと仕事になりませんので、それらの文献も必要になります。そのほか、事実を解明するために専門的知識を要することがあり、医学書や建築の専門書も本棚を占めております。特に医学書は法律書以上に高価ですが、部数が出ないせいだろうと推測しております。
5.英語の勉強を再開しています。
少しずつですが、英語の勉強を再開しております。
私たちのような町弁でも近いうちに英語でのやりとりが必要となると思いますので、海外案件もお手伝いできるよう、英語を再度、勉強しております。私が学生だった時代に比べ、学習教材はたくさんありますし、スマホでいつでも聴けるなど便利になっております。
また、テレビの講座も、大人向けの基礎的な英語やビジネス英語など、レベルに応じた番組が用意されています。昨シーズンの大人向けの基礎英語ではサラ・オレインさんがアシスタントで出演されており、鼻の下を伸ばしながら、最後まで継続することができました(簡単な日常会話のレベルではありますが)。
現在、止まっている英語(書かれた英語)はある程度のレベルまで回復しましたが、動いている英語(会話)については、聞くことも話すことも相変わらず、苦労しております。歳をとってからのリスニングの取得は大変と言われますが、要は必要性とやる気の問題ではないかと思います。中年以降に英語を取得された元Googleの村上氏には大いに励まされております。
6.事案解決のためには、弁護士が事実を解明し裁判所に伝えることが重要となります。「お勉強」は、専門家である以上、ずっと続くものと思っております。
エキスパートバンクに登録されました!
弁護士 青野 理俊
当職は、この度、京都府商工会連合会のエキスパートバンクに派遣専門家として登録されました。
エキスパートバンクとは、経営・営業・生産・技術など多岐に亘って課題を抱えている「小規模事業者又は創業を予定する者」(小規模事業者等)の要望に応じ、エキスパート(専門家)を直接事業場や事務所へ派遣し、専門的でかつ実効性のある指導と助言により、その解決を図るという制度です。各地商工会議所や商工会連合会が取り扱っており、所属する各会員へのサービスとして行われています。
当職は、弊所の長岡京事務所に在籍して7年目ですが、長岡京市のことを深く知りたいと考え2年目から長岡京市商工会に入会し、理財部にて研鑽を積みつつ、青年部活動にも積極的に取り組んでまいりました。そしてこの度、長岡京市商工会から推薦いただき、京都府商工会連合会のエキスパートバンクへ専門家として登録いただいた次第です。
エキスパートバンクに登録されて以降、数多くのご相談のお申し込みをいただいており、建設業、製造業、飲食業、不動産賃貸業など様々な業種の企業様からご相談がありました。一つひとつのご相談に対し、その企業様独特の事情を汲み取りながら、実務的かつ多角的にアドバイスをさせていただきました。
どれほど誠実に企業活動をしていても、トラブルに見舞われるリスクは付きものです。トラブルになった後のことを扱うことが多い弁護士業務ですが、だからこそ、転ばぬ先の杖として様々なアドバイスをすることができます。当職は、これからも迅速さと丁寧さの両立を常に考えながら、今後も中小企業を取り巻く様々な環境に対する理解を深めつつ、経営者の悩みを親身になってお聞きし、その企業独特の事情にあったご提案をしてまいりたいと思います。
異業種との交流
弁護士 大杉 光城
私は、平成24年11月にこの京都に移り住みました。それまでは、ずっと故郷である新潟以外で暮らしたことはなかったですし、京都はもちろん、関西には知人もほとんどおりませんでした。そんな私が京都を選んだのは、弁護士になるにあたり、全く新しい環境で自分を鍛え直したいと思ったからです。
新潟からすれば、関東の方が馴染みが深く、友人や親戚も多かったですが、敢えて知り合いの少ない関西に行きたいと思いました。そして、関西の中でも、「大学のまち」として優秀な人々が集まり、かつ、今まで自分が経験したことのない伝統・文化に多く触れることが出来る京都に魅力を感じ、いわば「修業の場」として、京都を選んだのです。
このようにして京都での生活を始めた私ですが、一昨年までは、京都での私の人脈は、弁護士をはじめとした司法の関係者がほとんどでした。そこで、「弁護士としても3年目に入り、もっと人脈を広げたい」と考えていたところ、一昨年の末、新しい異業種交流会の立ち上げに参画することになり、去年の3月から正式に発足することになりました。
私の参加する交流会は、弁護士であれば私1人というように、1業種につき1人ずつ参加し、週1回早朝に定例会を行っています。朝の弱い私にとってはなかなか大変ではありますが、この交流会を通じ、30を超える様々な異業種の方々と知り合うことができ、また、困ったときに助けてもらえるかけがえのない仲間が出来ました。そこで知り合った司法書士や税理士の先生方には、日常業務で少し疑問に思ったことでも気軽に相談に乗っていただけていますし、損害保険、生命保険、建設業、自動車販売、不動産業、さらには、整体師やエステティックサロン、古物商などといった各分野の方々にも、それらの分野に関わる案件でご協力いただいております。
弁護士が取り扱う業務は「争い事」という共通点はありますが、争いが生じる分野は際限がありません。そのような様々な分野の争い事を解決するにあたっては、弁護士自身の研鑽はもちろんですが、問題となっている分野の業務に通じた人の助けを得ることが重要になると思います。
今年も自己研鑽に励むとともに、異業種の方々と交流を深め、より皆様に満足していただける事件処理を目指して頑張りたいと思います。
子育て支援
事務長 田村 彰吾
お客様のなかにもご存じの方がいらっしゃるかと思いますが、私は、第三子に恵まれ、昨夏、無事生まれました。そして出産と同時に、1か月の育児休暇を頂きました。上の子どもたちの学校の都合や両親の年齢なども考えると、いわゆる里帰り出産や短期間同居もなかなか現実的でないと判断したため、比較的早い段階で所長と相談し、弊所の男性職員初の育休取得となりました。
男性の育児休暇は、日本ではまだまだ一般的でなく、まして、従業員の少ない企業体では、1名抜けるだけでも相当な人員不足に陥ってしまいます。さらに、弊所では昨年1月から既に別のスタッフが産・育休のため抜けている状態でしたので、所長には、どう切り出そうか悩んだ末に申し出たのですが、相談した私が拍子抜けするほどに二つ返事で了解を頂きました。
もちろん、育休中の人員補填や人事労務管理、私自身が担当している事件の処理など、やること、考えることは山のようにありましたが、まずは「良いよ、休みなさい。」と言ってくださったその一言に大きな安心を感じました。方向性が決まれば、あとはどのように処理をすれば良いか考え、行動するだけですので、多少忙しくとも気持ちはうんと楽になりました。おかげさまをもちまして、3番目の子でありながら、初めて生後0か月から一緒に過ごし、とても有意義な、密度の濃い1か月を過ごすことが出来ました。
ところで、私が育休を取る少し前に京都府から「ワーク・ライフ・バランス推進宣言」をする企業を探していると連絡を受けました。府の職員の方がわざわざ説明に来所され、ワークライフバランスのために目標とする項目の説明があったのですが、推進も何も、弊所では既に実現していることがほとんどで、しかも事務方の責任者である私が育休を取る、ということも相まって、担当者も驚くほどの高得点で京都府から推進企業として認証を頂くこととなりました。
さらに当該部署からの推薦で、昨年11月には京都府知事より子育て支援企業として表彰を賜ることとなりました。これまでも、当たり前のようにスタッフの子育てなどプライベートな問題を正面から受け止めてきた所長でしたが、公に知れるや、ほんの半年ほどの間に知事表彰まで受けることとなり、その対応が非凡であったことに気づかされた瞬間でした。
そんな白浜所長ですが、受賞の報告をしたときの第一声が「別に何にもしてへんのにな。」だったのも実に所長らしい一面だと思います。