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弁護士法人 白浜法律事務所

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白浜の思いつき
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2018/12/27

71期の一斉登録を終えて弁護士の登録状況などについてわかってきたこと

71期の一斉登録までのデータがわかってきました。二回試験の合格者数が1517名で、裁判官採用が82名、検察官が69名、一斉登録が1032名ですから、未登録者は334名となりました。昨年よりは、少し改善したことになります。
71期の一斉登録までのデータが得られたということから、期別の弁護士人口について、少し分析をしてみました。大阪弁護士会の山中理司先生が詳細な分析をされていますので、そのデータをお借りして、私独自のデータを加えて分析したものです。わかりやすいように表にまとめてみました。後述する分析表です。
少しだけ解説しておきます。

まず、60期から61期にかけては、二回試験に合格した人のほとんどが一斉に弁護士に登録していたものが、62期以降急激に未登録者が増えて、66期で最も増えて、67期以降は、少しずつ改善していることになります。
66期までは、弁護士を廃業した人が多くなっています。特に63期が最も多く100名に近い人数が弁護士を廃業していることになります。実際、一時期最大人口からは100名を下回っている時期がありました。67期からは、廃業する人は減りつつあるということは言えるようです。
ただ、67期以降は、弁護士の廃業は減っているようですが、弁護士になることができる人の中での実際に弁護士になった人の比率は低いままなので、最初から弁護士になることを諦めた人の割合が高くなっていたということが言えるように思います。

弁護士人口の期別分析表

2018/12/17

弁護士は年間で400人近くが自主廃業することが定着した

請求退会者、つまり、自主的に弁護士を廃業する人が増えていることについては、私のブログぐらいでしか取り上げていないようである。今年も自由と正義に掲載された請求退会者について整理してみたところ、合計で382名となって、昨年の358名と比較すると24名の増加となり、私が統計を開始してから最も多い退会者がでたことになった。

このうち270名が3万番台以上ということで、これも統計開始後最大値となった。登録番号が大きな人ほど最近に弁護士になったということなので、若い弁護士の廃業が増えているということが示されている。

2014年に374名となってから以降は、2015年が358名、2016年が367名、2017年が358名と若干の減少傾向があったわけだが、今年は請求退会者が増加したことになる。

いずれにしても弁護士急増政策開始前にはせいぜい50名に満たない人数しか退会していなかったことから考えると、年間で400名近い弁護士が自主的に退会するということになっていることは、弁護士の供給過剰があるということを裏づける結果となっているように思える。また、2015年から2017年まで弁護士の総人口が増えている中で退会者の減少傾向があったことは、司法試験合格者数を減らしたことが影響しているように思われる。このことからしても、司法試験合格者数は更なる減員が求められていると言えるように思われる。

2018/11/28

歪んだ考えって?

司法試験に合格できることで法律家になれるということが歪んだ考えであるという方がおられるようです。

しかし、司法試験に合格した者には法曹資格が与えられることになっているのですから(司法修習は受けなければならないということではありますが)、司法試験に合格できたら法律家になれると思うのは至極当たり前のことであって、歪んでいるなどと非難されるということには私としては共感できないところがあります。

上記の考えは、法科大学院の在学中に司法試験を受験できるようにする制度改革に不満を述べる方が述べておられることのようです。これは、法科大学院を卒業させないと法律家になれないようにすることに固執する考えと言えます。しかし、現状のように法科大学院を卒業しなければ受験ができないということですと、大学を卒業した後で専門職大学院も卒業した方が無職という立場で司法試験を受験しているということになります。それはそれで構わないとおっしゃっているということになってしまいますが、私からすると、学生への配慮に欠けているように思えてなりません。

この考えを大学受験に置き換えてみた場合どうでしょうか。高等学校で在学生に浪人することを推奨するところはいないはずです。どの学校も、在学中に学生が大学に合格できるよう努力されているはずです。在学中に大学受験があることで高等学校の授業に熱心になれない人がでてくるから、卒業させてから大学受験するようにしてくれなどという学校があるとは思えないのです。大学の医学部でも同様で、全員が在学中に医師試験を突破するように指導されていることと思います。

法科大学院としても、学生を在学中に合格できるぐらいにきちんと指導するということを胸を張って言ってほしいなと私は思うのです。

以上のような疑問を持ってしまうような私の考えが歪んでいるのでしょうか。

2018/10/09

志願者の減少の理由を受験制度だけに求めることでは問題は改善しないのでは?

法科大学院の修了まで6年かかることが受験生の負担となっていることが法科大学院の志願者の減少につながっているということで、期間を短縮してはどうかという改革案がでてきているそうです。

これは、それだけを取り出せば、確かに志願者を減らしている原因の一つではあるとは思います。しかし、旧試験の時代は、長期間の受験を続けながらも、司法試験を受験しようとした人達が沢山いたことを考えると、法科大学院卒業までに6年かかることが志願者の減少の主たる原因ではないことは明らかでしょう。

法律の勉強をした者の経験からしますと、法律の勉強には6年ぐらいかけなければ正確な知識が習得できないし、法的な思考力は身につかないという考えもあるように思います。逆に言えば、「司法試験の受験資格の取得には努力は不要です、簡単に受験資格は得られますよ」とすることを果たして国民が望んでいるのかという視点も必要なように思います。できるだけ優秀で法律の知識も豊富ないい弁護士に依頼したいという需要が高いことは、私自身の経験からもそう感じています。

また、受験制度を変えて楽にしてやれば受験生が増えるかというと、そうではないと思います。うちの大学は簡単に卒業できますよというようなシステムを採用した大学に学生が集まっているというようなことは聞いたことがないように思うのです。

このブログで何度も指摘していることですが、法科大学院の志願者が激減しているのは、司法試験が就職のための資格試験であるのに、その合格によって、将来も安定した仕事に就くことができるかという点に不安が生じていることが主因だと思います。このことは、率直に認めた上で、この需給バランスの改善を先に実施するということが第一ではないかと思います。現に、合格者を1500人に削減したことで弁護士の就職難にはかなり改善の傾向がでてきています。ただ、需給関係の改善をするのであれば、1度1000人以下にしてみるなど、もっと明確な形でわかりやすく世間に示すことが大事だと私は思います。

また、法科大学院の卒業を司法試験の基本的な受験資格要件としていることが、卒業後の学生ではない無職の状態で司法試験を受験しなければならないということをもたらしています。このことにより、20代前半で1度は無職になってしまうことが、学生やその保護者からは不安を高めることにつながっているように思います。このシステムには、メスを入れていただいた方がいいように思います。

採用する側からしても、4月から司法修習が開始され、3月卒業で4月に新人弁護士を採用できるようにしてもらった方がいいように思うのです。今のように12月中旬に合否が決まり、年末に新人を採用するというようなシステムは、他の企業や公務員と比較するとおかしなことになっていて(年末の忙しい時期に新人を採用しているような企業はあまりないと思いますが、法律家の場合、その時期しか新人は採用できないことになっているわけです。)、弁護士の採用だけではなく、事務員の補強なども計画的に実施することが難しくなっていますし、裁判官や検察官の4月転勤の人事異動もややこしくなっているのではないかと危惧するところがあります。裁判官や検察官に広域での転勤を強いている中、家族、特に子どもさん達の転校を考えると、裁判官や検察官の4月転勤のシステムを変更することは極めて困難でしょうから、4月に体制を組んだ後に12月に新人を補強して体制を組み直すということで、1年に2度の組織変更をすることになっているのではないかと思います。他方で、裁判所や検察庁の事務官は、4月採用が基本ということなわけです。裁判所や検察庁の人事担当者は大変なご苦労をされているのではないかと推察しています。

要するに、卒業見込で司法試験を受験できるようにシステムを変更し、3月卒業に続いて4月から司法修習が開始され、3月に司法修習の合否が決まり、新人の法律家は4月から就職できるようにすることは最低限実施されるべきことであって、法科大学院を卒業してからしか司法試験の受験ができないという制度を変更することが最優先に行うべきことと私は思います。