2012/10/08
新65期の就職の現状
仙台の坂野智憲先生のブログは、私も共感するところの多いブログですが、最新のものでは、仙台の修習生の就職事情がかなりよろしくないということが書かれています。その内容は、遠く離れた東北の地ながら、修習生が京都とほぼ同じような状況に置かれていることがよくわかるものとなっていて、やはりこの問題は、国としての政策の失敗の問題なのだなということを痛感しました。
http://jsakano1009.cocolog-nifty.com/blog/2012/09/post-9177.html
Schulzeさんの10月6日のブログでも、昨年と同じ状況というのが本当なのかということが取り上げられています。私の実感するところでも、就職状況は昨年よりかなり厳しいと思っておりますので、このような疑問を持たれるのは、当然のことと思います。
http://blog.livedoor.jp/schulze/
ただ、日弁連の調査では、昨年と同じような状況となっているのは、確かなことのようですが、正確なところはわからないというのが実態だと思います。これは、昨年と比較すると、修習生が日弁連のアンケートに極めて非協力的となっているということから、有為な統計データが集まらない状態になっているためです。日弁連としては、データの公表は、やりたくてもできないでしょうし、むしろ、このような不正確なデータに基づく公表はするべきではないだろうと私は思います。修習生がアンケートに協力しないことについて、彼らを非難することはできません。このアンケートに協力しても、日弁連に何ができるかというと、実のところ、できることはほとんどないというのは、修習生が一番よくわかっているということではないかと思います。各地の弁護士会では、企業からの就職説明会とか、修習生との懇談会とかを開いて、修習生の就職支援活動としてできる限りのことはしているわけですが、一括登録時の就職未定者の激増や初任給の激減などの数字に顕著に表れているとおり、これが人的な需給のアンバランスの問題である以上、今の修習生の数を前提とする限り、抜本的な解決を導けるような活動とはなり得ないところが悲しいところなのです。
新65期の就職状況がどうなっているかということを最も正確に把握しようとすれば、既に受付が始まっている12月の一斉登録の申請状況を整理すればよくわかるものと思いますが、これは、これまで統計データとしては、採用されていませんから、何期からの数字があるのかが不明です。ただ、この数字が日弁連として把握できる時点では、既に一括登録時点までに登録ができない人がほぼ確定してしまっているわけですから、これを公表しても、時期的に遅すぎて、あまり意味がないかも知れません。
いずれにしましても、私の実感では、新65期の就職状況は昨年と同じ状況ということではなく、更に悪くなっていて、62期ぐらいまでには多数を占めていた正常な雇用形態による勤務弁護士の採用は急減し、初任給の激減傾向が顕著となっているだけでなく、いわゆるノキ弁のような不正常な雇用関係が激増しているというのが、新65期の現状ではないかと思います。
先日も就職に関する相談を受けましたが、個人的なボランティアではどうすることもできない問題だということを痛感しました。仮に自分が数年前に弁護士になっていたら、果たして独立してやっていけると思うだろうかということを考えるほど、この業界の新規参入者は、厳しい状況に置かれているように思いました。それほどまでに若い世代の育成が難しくなってきているということは、日弁連の上層部にぜひ理解していただきたいと思います。